遺伝子組換え表示制度 見直し議論がスタート (2017.5.11)

遺伝子検討会・松本②

 消費者庁は4月26日、「遺伝子組換え表示制度に関する検討会」(座長・湯川剛一郎東京海洋大学教授)の初会合を都内で開催した。

 米国などで遺伝子組換え農産物の生産が増えて、同原材料の加工食品の流通量も増加していることなどを背景に、2001年に導入された現行の遺伝子組換え食品表示制度を見直す。

 現在、同制度で表示対象に指定されているのは、大豆、トウモロコシ、馬鈴薯、菜種、綿実、アルファルファ、てん菜、パパイヤの8つとこれを原材料とする33加工食品群。安全性審査済みの遺伝子組換え食品は、今年2月16日時点で食品310品種、添加物25品目となっている。

 同制度では、加工食品(醤油、異性化液糖など)のうち、遺伝子組換えDNA・タンパク質が検出できない商品は、表示対象外(EUは表示対象)としており、ここが議論の最大の焦点になりそうだ。

 同日の会合では、消費者庁が国立医薬品食品衛生研究所などに委託した最新技術によるDNA検出結果が報告され、表示対象外とされた加工食品のうち、コーンフレークが全品(5商品)、デキストリンは6商品中1品でDNAが検出されたことが分かった。他の商品は全て検出不可能だった。
 消費者庁は、流通量の増加やDNA検出技術が進歩していることなどから、表示対象範囲を拡大したい考えだが、一般財団法人・食品産業センターは早くも初会合で意見書を提出。「はん雑な表示制度の見直しは企業にとって大きな負担」(武石徹委員・同センター部長)として、難色を示した。

 一方で、消費者側からは、「(遺伝子組換え表示制度は)やはり安心に対応した仕組みだと消費者は理解している。表示範囲の拡大は必要」(夏目智子委員・全国地域婦人団体連絡協議会幹事)と主張。議論は難航が予想される。

 次回会合は6月20日で、消費者団体や事業者へのヒアリングが今秋まで数回実施される予定。とりまとめは来年3月頃を目指す。

【写真=初会合で挨拶する松本純内閣府特命担当相(4月26日、三田共用会議所)】

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