処分基準の透明化を要求 消費者委(2017.5.25)
消費者庁による特定保健用食品(トクホ)買上調査で関与成分量が表示値を下回る商品が2品見つかった問題をめぐり、消費者委員会が同庁の対応に疑問や不満の声を上げている。同庁が表示許可を取り消さない方針を示しているためだ。関与成分や品質管理の問題を背景にした取消処分事例が実際あるだけに、「消費者にとって、取り消す場合と取り消さない場合があるのは分かりにくい」などと指摘する声が上がっている。
また、消費者委は23日、「消費者基本計画工程表の改定素案(平成29年4月)に対する意見」の最終取りまとめを行い、公表した。トクホを含めた保健機能食品全体について、不適切な商品が見つかった場合の行政処分の是非に関する判断基準を早急に検討するよう同庁に求めている。
工程表の改定素案に対して消費者委はもともと、食品表示に関して①消費者等への周知の強化と健康食品の表示・広告の適正化②トクホ等の制度・運用の見直し③機能性表示制度の見直しに関する取り組みスケジュールなどを明記するよう求める方針だった。その中で、トクホ買上調査の結果や、それに対する同庁の対応方針が明らかになったことを受け、保健機能食品で不適切な商品が見つかった場合の行政処分に関する対応ルールとして判断基準の明確化・透明化のほか、当該商品の販売量や違反状況などに関する情報開示のあり方を検討するよう、追加して要求した格好だ。
消費者委は23日に本会議を開き、買上調査結果について同庁食品表示企画課から聞き取りを行った。河上委員長は、「買上調査をして中身を審査するのであれば、審査基準や対応方針をあらかじめ明らかにしておくことが必須」だと指摘した上で、今回の同庁の対応には「疑問がある」と不満を表明。ほかの委員からも、「許可取消しの基準が明らかにされていない」などとして処分基準の透明化を求める声が上がっていた。