原料原産地表示 パブコメ8500件超 調整難航の可能性も(2017.5.25)
今夏の施行が予定されている加工食品の原料原産地表示制度の改正案(食品表示基準改正案、内閣府令)に関して、消費者庁の岡村和美長官は17日、4月25日に締め切ったパブリック・コメントの総数が8500件以上に達していることを明らかにした。
17日に行われた定例会見で岡村長官が述べたもので、まだ最終的な集計を終えていない段階とことわったうえで、パブリック・コメントの提出者は4500人以上、寄せられた件数は8500件に達しているとした。同庁広報室によると「8千件を超えるパブリック・コメントはあまり聞いたことがない」という。
パブリック・コメントを受けた同庁の対応結果は、6月8日に開催される消費者委員会の食品表示部会で示される予定だが、担当する同庁食品表示企画課によると、改正案を大幅に見直す考えはないとしている。
審議会などの議論を踏まえて作成した法令の中身を施行直前で大幅に変更することは、通常はほとんどない。しかし、異例の8000件を越える意見が寄せられたことで、6月8日の食品表示部会は波乱含みの展開となりそうだ。消費者庁によると、制度の運用面に限定して、一部修正を加えることも「一般論としてはあり得る」(食品表示企画課)としている。
制度改正に伴う来年度の予算措置なども考慮すれば、7月~8月の施行が必要との見方もあり、全ての加工食品に対象を拡大する原料原産地表示制度の改正案は、導入に向けて綱渡りの状況が続きそうだ。