規制改革推進会議第1次答申 届出の迅速化など求める (2017.5.25)


 内閣府の規制改革推進会議(議長・大田弘子政策研究大学院教授)は23日、第1次答申を安倍首相に提出した。機能性表示食品制度についても盛り込まれ、懸案となっていた届出書類の処理迅速化ほか、生鮮食品の届出拡大策、今年中の届出ガイドライン改定およびQ&A策定、軽症者のデータの取扱い範囲拡大などが改善項目として列挙された。

 機能性表示食品制度に関する改善項目は別表の通り。「規制改革実施計画」として策定、閣議決定されることで、実行力を伴うことになる。

 ①の運用改善目標の設定と工程表の策定は、届出書類提出後、不備指摘が行われるまでの所要日数に関して、改善目標を設定し、実現までの工程表を策定するとされた。

 届出手続きの運用改善では、消費者庁と業界団体の情報共有化が指摘され、消費者庁に業界団体からの相談専門窓口を設置すること、業界団体の点検を経た届出書類は消費者庁の確認作業が迅速に進む仕組みを構築することなどが盛り込まれた。

 これまで事業者側は消費者庁から不備事項を指摘されても何を修正すれば分からないといった不満が強かった。相談窓口の設置や情報共有化などで、それがどこまで改善できるのか、今後の動向が注目される。

 また、年内中に、届出ガイドラインを「分かりやすく」見直すとともに、届出書類で不備の多い事項に関するQ&Aを策定することも明記した。Q&Aの策定期限に関して同庁は、「今年度中」としたい意向を示していた。規制改革側が「年内」で押し切った格好だ。

 注目は、臨床試験および研究レビューで軽症者を含むデータの扱いに関して、トクホで可能とされている範囲(コレステロール、中性脂肪、高血圧など)に止まらず、アレルギー、尿酸値、認知機能などにも拡大することが盛り込まれた点。調査事業を踏まえて、使用可能なデータの境界域を公表することが指摘されている。これは制度の改善というよりも、「規制改革」と言って差し支えのない要求事項。実現すれば、機能性表示食品はさらにバラエティに富んだものになりそうだ。

 さらに、生鮮食品の届出拡大策。農業協同組合など関係者にヒアリングを実施するとされており、実際は消費者庁と農林水産省が、どこまで突っ込んだ届出ガイドラインの見直しと支援策を打ち出せるかがポイントとなる。
 一方で、業界が要望していた、機能性表示食品制度にもかかわる食薬区分の見直しは、今回見送られた。

 今回の答申に盛り込まれた項目は、軽症者データの範囲拡大以外の多くが、消費者庁が前向きに取り組む方針を示していたもの。それらについて、検討・措置時期が明記された点が、ポイントになっているといえよう。



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