日健栄協がトクホで要請 品質管理の「更なる」徹底を (2017.6.22)
日本健康・栄養食品協会(下田智久理事長)が特定保健用食品(トクホ)の品質管理の「更なる」徹底を関係各社に求めている。日健栄協GMP認証取得企業に対しても、トクホの原材料に関し、工場受入れ時の同一性試験の「すみやかな実施」を要請。消費者庁が実施した買上調査の結果、関与成分が規定量通り含まれていない商品が一部見つかったのを受け、危機感を露わにした。
買上調査結果に危機感
トクホの品質管理の更なる徹底要請は消費者庁の依頼を受けたもので、12日付。同庁は先月24日、「トクホに対する更なる品質管理等の徹底について」と題した長官通知を日健栄協理事長宛てに発出し、「改めて平時の品質管理体制を見直し、基本的には毎年1回、許可試験と同等の試験検査を実施する等の更なる自主的な品質管理等の徹底」に取り組むよう日健栄協に求めた。同庁が業界にトクホの品質管理の徹底を求めるのは2度目となる。
これを受け日健栄協は、同庁が昨秋緊急実施したトクホ関与成分一斉調査の際、15年度以前に行った関与成分定量試験結果を提出していた企業に対し、現在販売中の製品については、16年度以降に実施した定量試験結果を8月末までに協会に提出するよう関係各社に要請した。
これに関して長官通知は分析試験結果の提出までは求めておらず、提出は日健栄協が自主的に判断したもの。同庁が抱える危機感を代弁し、代理的に実行するものと考えられる。
下田理事長は要請で「今後、関与成分量の不適切な結果が再度発生した場合にはトクホ制度そのものの存在意義が問われかねない」と指摘。こうした強い危機感があるためか、日健栄協は今回、トクホの品質管理の徹底要請を、販売者のみならず、受託製造企業など製造者側に対しても直接的に行った。
日健栄協は12日付で、消費者庁の依頼を受けた要請とは別に、日健栄協GMP認証企業に対し、「トクホの製造に係る品質の管理の徹底」を要請。下田理事長は、関与成分量の不適切な商品が発覚するような事案が今後発生しないよう、GMP認証企業も「必要な措置を講じる必要がある」とした。トクホにとどまらず健康食品についても品質向上にも努めるよう求めている。
この要請では、日健栄協GMPに関するガイドラインの改定予定も通告。15年改定ガイドラインでは、17年12月末まで猶予期間を設定している原材料受入れ時の同一性試験について、トクホの原材料に関してはすみやかに実施するよう要求した。また、「製品の試験検査はロット毎にトクホ関与成分の含量も含めて全項目について行う」などといった「厳格な出荷判定基準」(日健栄協)の設定についても要請している。
日健栄協による一連の品質管理徹底要請を受け、消費者庁が日健栄協を間に立てるかっこうで、品質管理レベルの向上に関与し始めたとの見方も出ている。ある業界関係者は「有効性にせよ、安全性にせよ、品質によってしか保証されない」とコメント。品質管理の向上は容易い話ではなく、国の関与がなければ困難だろう、と言う。