厚労省 食薬区分改正 専ら医薬に2成分追加 (2017.6.22)
厚生労働省は食薬区分(医薬品の範囲に関する基準)の一部改正案を6日までにまとめ、パブリックコメントを同日開始した。来月5日まで受け付ける。今回の一部改正では、「専ら医薬品」リストに植物のムラサキムカシヨモギの全草、化学物質のホモタダラフィルを新たに追加。一方「専ら非医薬品」リストには、新たに植物のシデリティス・スカルディカの茎・葉・花、ナガミノアマナズナの種子油を加える。
コウモリガ科の幼虫を乾燥させたトウチュウカソウも専ら非医と判断し、非医薬品リスト収載済みのトウチュウカソウの現行部位(子実体およびその寄主であるセミ類)に追記する。鶏肉由来プラズマローゲンも同様に専ら非医と判断しており、非医薬品リストにあるニワトリの部位に「可食肉部からエタノール抽出して濃縮したもの」を追記する。
今回の一部改正案は厚労省が2月に開いた「医薬品の成分本質に関するワーキンググループ」(WG)の審議結果を受けたもの。WGは海藻のカジメについても専ら非医と判断。カジメは今回の食薬区分一部改正で、現行リストにある「カイソウ」の部位(海中食用藻類)に含まれるものとして整理される方向だ。
WGは、アドニス花弁色素抽出物の食薬区分についても議論した。ただ、専ら非医と認めるのは困難と判断。もともとアドニス属は全草が専ら医薬品リストに収載されているためだ。同抽出物の食薬区分を照会した事業者は、アドニス花弁由来アスタキサンチンを食品として販売したい考えを持つとみられる。
一方、専ら非医と判断されたシデリティスは、欧州を中心にハーブティとして飲まれており、WGは、「食経験がある」ため専ら非医とするのが妥当と判断した。
WG議事概要 判断理由示す
食薬区分を巡っては昨年末、政府の規制改革ホットラインを通じて産業界から判断に至る審議過程の不透明感が指摘され、所管する厚労省は、次回の一部改正から判断に至るまでの重要な議論を議事概要に記載する新方針を示していた。
厚労省監視指導・麻薬対策課によると、新方針は今回の議事概要から反映させており、「判断が特に難しい専ら医薬とする場合について、判断理由や検討内容を詳細に記載した」としている。
実際、WGが専ら医薬と判断したムラサキムカシヨモギについては、判断に至る根拠が比較的詳細に示された。議事概要によると、文献調査で強いアルカロイドを含むとの情報があったほか、タイで禁煙目的の民間薬として使用実態が認められた。また、申請者が提出した論文を踏まえると、「食品として多量に摂取した場合、健康影響が懸念される」などとしている。
一方、専ら非医と判断されたものについては従来と同じ書きぶり。