原料原産地表示 委員から意見続出 消費者委食品表示部会 監視、普及啓発など巡り(2017.6.29)


 消費者委員会の食品表示部会が29日に開かれ、前回に続き、加工食品の原料原産地表示制度の改正案(食品表示基準の一部改正、内閣府令)について審議を行った。内閣府令に盛り込まれた監視体制、消費者・事業者への普及啓発などが議題に取り上げられ、焦点の「可能性表示」については、議題に予定していたものの審議には至らなかった。食品業界が求めていた経過措置期間の延長については、すでに2020年3月末から、22年3月末に延長することが決まっている。

 監視体制については「そもそもチェック(監視)に際しての根拠書類のルールや基準などがなく、事業者側も原料使用実績の把握など対応が困難。現状の監視体制では難しいのではないか」(受田浩之委員・高知大学副学長)など、疑問視する意見が相次いだ。また、普及啓発では、消費者庁は消費者理解度調査などを実施する方針だが、「実際、この表示を理解できるお客様はほとんどいない」(荻原葉子委員・消費者関連専門家会議会員)など、厳しい意見も出され、普及啓発の施策をより一層強化することを求めた。

 これに関連して、事業者によるインターネットを使った情報提供もより力を入れるべきとの意見も多く出されたが、一方で「表示が難解で分からないからといって、インターネットの情報提供に頼るのは食品表示法の本則から外れる」(岸克樹委員・日本チェーンストア協会委員)などの指摘もあり、今回の制度改正による表示方法が、消費者にとって分かりづらいものとなっていることが、改めて浮き彫りとなった。

 各委員の意見は、大部分が疑問視あるいは否定的な内容で、今後、審議はさらに時間がかかりそうだ。次回の部会は7月12日に開催される予定。内閣府令の施行は、早くて9月になる見通しだ。

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