原料原産地 普及啓発などで意見続出 消費者委食品表示部会(2017.7.6)
消費者委員会食品表示部会が6月29日に開かれ、前回に続き、加工食品の原料原産地表示制度の改正案(食品表示基準の一部改正、内閣府令)の審議を行った。前回と同様、委員から疑問や意見が続出した。
今回の部会では、全ての加工食品に原料原産地表示を義務付けることに伴う監視体制の問題、消費者・事業者への普及啓発などが議題に取り上げられた。焦点の「可能性表示」に関しては、議題に予定していたものの審議には至らなかった。
また、食品業界などが要望していた経過措置期間の延長は、消費者庁が前回の部会で示した通り、「2020年3月末まで」から「22年3月末まで」とすることが了承された。
一方で監視体制については、「そもそもチェック(監視)に際しての根拠書類のルールや基準などがなく、事業者側も原料使用実績の把握など対応が困難。現状の監視体制では難しいのではないか」(受田浩之委員・高知大学副学長)、「違反を確定するまで何カ月も時間がかかる」(今村知明委員・奈良県立医科大学教授)など、疑問視する意見が相次いだ。
制度導入後の普及啓発について、消費者庁は新たに消費者理解度調査などを実施する方針だが、「実際はこの表示を理解できるお客様はほとんどいない」(荻原葉子委員・消費者関連専門家会議会員)など、厳しい意見も出された。
これに関連して、インターネットによる原料原産地情報の開示にも力を入れるべきとの意見も多く出されたが、「表示が難解だからといって、インターネットの情報提供に頼るのは食品表示法の本則から外れる」(岸克樹委員・日本チェーンストア協会委員)との指摘もあった。
次回の部会は7月12日に開催される予定。