健康食品受託製造企業・本紙アンケート 機能性表示制度 どう評価 (2017.7.20)
機能性表示食品制度を評価するかどうかについて、本紙が健康食品受託製造企業を対象にアンケートを実施したところ、「どちらともいえない」が過半数を占めた。制度は施行から3年目とまだ若く、運用が不安定なため、特に品質管理に関して重要な役割を担う受託製造企業も評価を決めかねている様子がうかがわれる。
健康産業流通新聞は先月末から今月15日までの間、全国の健康食品受託製造企業を対象に、17年上半期に受注の多かった素材、喫緊の経営課題などとともに、機能性表示食品制度に対する評価などを尋ねるアンケートを実施し、34社から回答を得た。
現行の機能性表示食品制度を評価しているかを聞いたところ、「評価している」は35%、「評価していない」は8%。一方、「どちらともいえない」は56%となった。
本紙は受託製造企業を対象にしたアンケートを毎年2回実施しているが、機能性表示食品制度の評価を聞いたのは今回が初めてで、過去との比較はできない。ただ、評価している企業の割合が減少し、逆に、どちらともいえないと捉えている企業が増加している可能性がある。
「評価していない」「どちらともいえない」と回答した企業に、その理由も併せて尋ねたところ、評価していないと答えた企業からは、「とくに売上が伸びているわけではない」といった意見が複数あがった。制度施行前の期待に反し、今のところ売上を大きく伸ばす機能性表示食品はごく一部に限られ、広告宣伝に投資しないと売上を伸ばし難い現実を受けた意見といえる。
一方、過半数を占める「どちらともいえない」と回答した企業からは、「特定保健用食品との差別化ができていない」「届出制といいながら実質(的に)許可制に近い」「消費者庁の制度に対する考え方が未だにはっきりしておらず、届出の審査等で苦慮する」「(届出を受け付ける)評価基準が曖昧な感じがする」「消費者に(制度が)浸透していない」──などの意見が寄せられた。制度を所管する消費者庁の制度運用に対する不満や疑問の声が目立つ。
また、ある企業は、「(届出が受理されるまでの)コストと販売量のバランスはどうなのか」と届出手続きにかかるコストが大き過ぎる現状を疑問視。別の企業でも、「(届出に)かけた労力と比べて利益を得られていない企業が多いため、(対応する)必要のない制度と判断する販売会社も出てきた」と制度をめぐる最終製品販売会社の最近の考え方を説明したうえで、「そう思われている時点で本来の(制度の)目的から外れてしまっている」と指摘する。
「評価する」は3割
一方、最終商品販売会社の「理解不足」に憂慮を示す企業も。この企業は、「中小企業が活用しやすいとは言えなくなってきている」と制度の現状を指摘しつつ、「今までの延長線上で対応しようとするため無理がある」とも指摘。機能性表示食品は、いわゆる健康食品と異なる対応が販売会社にも求められているとする。
アンケートでは機能性表示食品の受託製造件数も聞いた。その結果、「30件以上」は15%、「10件から30件未満」は12%、「10件未満」は53%となった。30件以上と答えた企業には大手が多く、その大半が現行制度を「評価している」と答えている。
ただ、その中にも「どちらともいえない」と答えた企業があり、「届出書類に対する指摘事項が担当者ごとに異なり、出すたびに違うことを指摘されるなど課題も多い。消費者の認知度やリテラシーの問題も」あると指摘。一方、現行制度を「評価している」と答えた企業の中からも、届出実績のない新規成分や新規ヘルスクレームを求める意見が目立った。