あれから5年 変わる識者の評価 ビルベリーエキスの科学的根拠レベル
(2017.7.27)



 7月26日、発足以来6回目となる日本アントシアニン研究会(矢澤一良会長)が都内で開催され、アントシアニンで規格化されたビルベリーエキスの視機能改善作用に関するエビデンス(科学的根拠)レベルの現状について、複数の有識者が5年前と比べて一段高く評価した。


 この日の研究会の冒頭に行われた「機能性評価査定会議」。これは、消費者庁が2011年度に実施した「食品の機能性評価モデル事業」(結果公表12年4月)とほぼ同じ評価方法・基準を用い、ビルベリーエキスの眼精疲労改善作用や目の疲労感改善作用など視機能に関するエビデンスの質などを総合的に調査。その結果を、モデル事業で評価パネルを務めた有識者を含む評価委員が査定し総合的に評価するという主旨で今回初めて行われたもので、評価委員の4名全員が、B評価(機能性について肯定的な根拠がある)であるとの判断を示した。


 評価委員のひとりは、「前回の評価(モデル事業)以降に出てきた論文にかなり質の良いものが多い」と述べ、コンソルト声明に則った論文が増えた点も含めて高く評価。また、別の委員は「当時は日本人を対象にした論文がほとんどなかった」と指摘したうえで、今回は日本人を対象にした論文が多く含まれていたことを肯定的に捉える見解を示した。


 さらに別の委員は、モデル事業以降に「いろいろな論文が出され、論文の内容についても、以前の評価を踏まえたうえで、きちんとした実験が組まれている。これからが期待できる」とコメント。一方、この委員は、質が高いと判断された複数の論文が、「同じラボ、同じ人たち」でまとめられたものであること、日本語で執筆されていることに難色も示した。ただ、こうした点が改善されれば、「A判定でもいいだろう」と語った。


 モデル事業でも視機能に関して評価されたが、総合評価はC(機能性について示唆的な根拠がある)で、「根拠となる論文が少なく、質も低い」などとされていた。同研究会はモデル事業の後に発足。以後これまでの間、研究会会員企業の国内原料メーカーや最終製品販売事業者が積極的な研究投資を行い、臨床試験論文を連続的に投稿してきた経緯がある。


 評価委員を務めたのは、モデル事業で評価パネルを務めた唐木英明氏(東京大学名誉教授)、日比野康英氏(城西大学教授)、室伏きみ子氏(お茶の水大学学長)はじめ、加藤久典氏(東京大学大学院特任教授)の4名。モデル事業における機能性評価専門チームにあたる調査委員は、インデナジャパンの川田晋氏、研究会事務局の高尾久貴氏および小齊平麻里衣氏が担当した。




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