スポーツ庁とJADA 食品アンチドーピング認証めぐり有識者会議(2017.8.10)
スポーツ庁は食品・サプリメントの反ドーピング認証に関する有識者会議を設置する方針を明らかにした。事務局は日本アンチ・ドーピング機構(JADA)が務め、スポーツ庁との共同運営の形態を採る。独占禁止法との関係や利益相反の担保などが主要議題となる見込みだ。
日本はユネスコの「ドーピング防止国際規約」を批准しているが、同規約には、締約国(政府)に対して、栄養補給剤の生産者・流通業者が反ドーピングの観点から「最良の慣行」(分析的な組成や品質保証に関する情報含む)を確立するよう「奨励」することを責務として定めている。
日本での食品・サプリメントの反ドーピング認証は、これまでJADAが行ってきたが、食品関係事業者の一部から、分析情報の非開示や広告代理店を通じた協賛金の納付など、運営姿勢を疑問視する声が挙がっていた。
JADAの反ドーピング認証を取得する企業が一昨年の5社から3社に減少する一方で、昨年12月に英国の第三者認証企業のLGC社が日本での業務をスタート。同社の反ドーピング認証を取得した企業は2社(ドーム、日本ハム)に止まるが、「今後増えていく見通し」(LGC社関係者)となっている。
有識者会議の委員やスケジュール、詳細な検討項目などはまだ固まっていないが、JADAの反ドーピング認証の実情と独占禁止法との関係、利益相反の担保などが検討される見込みだ。海外では反ドーピング機関と営利企業の利益相反を確立するため同機関による食品の認証は行っていない。
見直しの声がある一方で、食品業界関係者からは「JADA認証を今さら変えられない。分析のやり直しやラベルの変更だけで多大なコストがかかる」との見方もあり、検討は難航が予想されそうだ。