「特別用途食と誤解」指導求める 日健栄協が消費者庁に(2017.8.31)
国に許可された特別用途食品と誤認を与えかねない一般食品が流通されているなどとして、日本健康・栄養食品協会が消費者庁に対して改善指導を要望している。一般的に行政から規制を受ける側の業界が、逆に行政に指導を求めるのは異例。「事業者の許可に向けての製品開発や許可取得の意欲等を損なうことになる」などと訴えている。
協会の下田理事長は21日付で同庁の岡村長官宛てに「特別用途食品制度の円滑な実施について」とする要望書を提出。その内容を28日にホームページで公開した。
要望書で協会は、大塚製薬の特別用途食品「OS‐1」の許可表示を引き合いに出し、許可表示に含まれる「『経口補水液』の文言が一般食品に使用される事例が見受けられる」と指摘。そのうえで、そうした表示を行う食品は「特別用途食品の許可を取得するか、許可を取得しないのであれば、特別用途食品と明確な区別をしたうえで販売するように指導していただくようお願い申し上げます」などと事実上の取締り強化を同庁に求めている。
ただ、「経口補水液」の表現は一般用語化しつつあるのが現状。それもあり協会は、「経口補水液の表現だけを問題視しているわけではない」(栄養食品部)と話す。では何を問題視しているのか。
協会は要望書に「OS‐1に類似する一般食品の販売事例」も添付。ドラッグストアなど実際の売場で撮影した写真を使い「問題点」を指摘したもので、例えば、OS‐1の許可表示に含まれる文言に類似する「発汗時、脱水時の水分補給に適しています」という文言を容器包装に表示している一般食品があると指摘。
また、そうした食品のポップには「防ごう、熱中症」「消費者庁許可」「ウイルス性の感染症には水分補給」──などと表示されていたり、特別用途食品の隣に陳列されていたりするなどと指摘している。
確かに、いわゆる健康食品などの一般食品が特定保健食品や機能性表示食品と誤認されかねない表示などを行っていれば、問題になる可能性が高い。その点、「特別用途食品に関しては認識が甘い」と協会は指摘。こうした状況がまかり通れば、「特別用途食品制度を運用するうえで危機」になるという。ただ、特別用途食品に対する消費者認知度の低さも問題の背景にありそうだ。