将来の食料産業、〝健康〟が重要 食品産業戦略会議(2017.9.11)
農林水産省が今年5月に設置した「食品産業戦略会議」は8日、中間論点整理を公表した。11月に報告書をまとめる予定だが、同省では「健康」に関して、国内外市場に共通した商品差別化、マーケット深堀りのための重要な視点として、報告書に盛り込む方針だ。
戦略会議は、少子・高齢化、人口減少を背景に、将来に向けた日本の食品業界のあり方を議論するもので、日本商品のメリット、業界の様々な課題などを抽出。11月末に報告書をまとめる。
最大のポイントは、輸出や海外事業展開を強化していく点。農水省の試算では、国内の飲食料市場は、すでに1995年の83兆円から2015年に76兆円に減少。50年にはさらに20%程度縮小する見通し。一方で、海外ではアジアを中心に市場が急成長しており、09年の340兆円から20年には680兆円に膨らむとしている。
同省では、「こうした状況の中、最近の機能性表示食品の増加に見られるように、健康に資する食の機能性が、縮小する国内市場の深堀り、拡大する海外市場での日本商品の強みになる」(農水省食品製造課)としており、「健康」を将来の食品業界の重要な視点として、報告書に盛り込む考えだ。
総務省の家計調査によると、日本の飲食料最終消費額は1995年以降、減少が続いており、1世帯当たりのエンゲル係数も「バブル経済期」以前の水準に戻りつつあるなど、全体的な所得水準の低下に伴う食品関連の家計支出の変化もある。このため農水省では、「単に〝健康〟を盛り込めば市場が拡大するというわけではない。今後の市場動向を注視していく必要がある」(同)としており、中間論点整理では、国内市場と海外市場のどちらに力点を置くのか。商品に〝健康〟などどのような付加価値を付けるのか。各社の経営判断が重要になるとしている。