機能性表示食品 「届出超えない広告表示を」 (2017.9.21)

森下氏修正2 ①

 規制改革推進会議委員の森下竜一・大阪大学大学院教授(=写真)は14日、機能性表示食品について都内で講演し、消費者庁表示対策課(食品表示対策室)の取締りが非常に厳しくなっていると述べ、事業者に注意喚起した。

 これは機能性表示食品の「広告」について言及したもの。ただ、同課による取締りは制度の根幹を成す「事後チェック」の一貫として、届出の中身そのものにも及んでいるものとみられる。森下氏は「おそらく(同庁から確認などを求める)書類が1回は来ると思う。準備をしておいたほうがいい」とも述べ、相当数の企業が書類を受け取っていることを示唆した。

 この講演は、ヒアルロン酸機能性研究会(矢澤一良会長)の第3回学術大会で行われたもの。森下氏は、「事後規制が本格的になってきた。いろいろな相談を受けている」と現状を説明したうえで、事業者に対しては、届出表示の内容を超えない広告表示を行うよう求めた。

 森下氏はまた、消費者庁が昨年6月に公表した「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項」を改めて確認するようにも求めた。留意事項の「問題となる広告例」のうち、「ぶよぶよのお腹がたった1粒で…」「飲むだけでドンドン落ちる」のキャッチコピーと、太った男性の画像などが表示された広告例を引き合いに出し、機能性表示食品においても、「その通りにエビデンスがあれば問題はないが、あまりに効果を強調し過ぎている(ため不当表示に該当するおそれがある)という(のが消費者庁の)認識」だと解説した。

 実際、ここにきてダイエット機能を訴求する機能性表示食品の広告表示をめぐり、販売者が「過度に期待を抱かせる表示を行っていた」などとして、お詫びする社告を掲載したり、返金対応を始めたりする動きが目立つ。

 一方、森下氏は店頭の「POP広告」についても言及。「POPは商品に貼ったらPOPではない。棚に貼るからPOP。商品に貼った形で売っている場合は、POPも(商品表示見本とともに消費者庁への)届出に入っていなければならない」と述べ、注意するよう促した。また、フェイスブックなどSNSを使った宣伝も「(取締りの)対象内」だとし、実際に取締りが始まっているとした。

 「機能性表示食品はあくまでも届出制。消費者庁が(事前に届出の中身の)全部を見ているわけではなく、見落としもある」――森下氏は講演でこう述べ、事後チェックの必要性を指摘した。ただ、森下氏は機能性表示食品のいわば「生みの親」。この日は事業者に対して注意喚起を行いながらも、根拠のあいまいな事後規制に対する不満の思いが言外ににじむ講演だったと言える。

【写真=規制改革推進会議委員:森下 竜一・大阪大学大学院教授】

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