食衛法改正に向け識者が議論  厚労省 業許可制の見直しも(2017.9.21)


 2003年以来15年ぶりとなる食品衛生法改正に向け、厚生労働省が今月立ち上げた有識者懇談会の第2回会合が20日、開催され、法改正の方向性の一つとして厚労省が示した、食品関連事業者の「営業届出の創設」「許可制度の見直し」について、議論があった。


 今回の食衛法改正は、20年の東京五輪・パラリンピック開催に合わせ、すべての食品等事業者を対象とするHACCPの制度化などが目的。そのため厚労省は、食衛法の政令で現在34業種が定められている営業許可対象業種以外の事業者も自治体が把握できるようにする目的で、新たに「届出」を求める仕組みを構築したい考え。また、営業許可対象業種そのものについても、「食中毒リスクに応じたものにする等の一定の判断基準」を設け、対象の見直しを行う方向性も打ち出している。


 現在の営業許可対象34業種が定められたのは1972年。以降、「現在に至るまで見直されていない」(厚労省)と言い、当然ながら健康食品販売業、同製造業は対象に含まれていない。


 この日の会合では、健康食品関連事業者を対象に加える必要性を直接指摘した構成員はいなかったものの、今後の会合で議論になる可能性もありそうだ。


 今回の懇談会は、HACCPの制度化以外にも、食衛法(食品安全)を取り巻くさまざまな課題を議論の対象にしており、健康食品もその一つ。今月14日の初回会合では、健康食品に関して活発な議論が行われた。また、厚労省は厚労省懇談会で、健康食品をめぐる「課題」として、関連事業者の把握、監視指導▽危害事例の収集・処理体制の充実強化▽消費者に対する健康食品に関する知識の普及啓発──の3つを示している。法改正の影響が健康食品にも大きく及ぶかどうかは現時点では不透明だが、議論の行方は従来の健康食品行政に一定の変化を与える可能性がある。


 厚労省は18年の通常国会で食衛法改正案を提出したい考え。懇談会の会合は全5回を予定しており、年内にも意見を取りまとめる方向だ。



Clip to Evernote

ページトップ