機能性表示食品「Q&A」を公開 消費者庁食表課 機能性の科学的根拠要件も示す(2017.10.2)
機能性表示食品に関する質疑応答集(Q&A)を消費者庁食品表示企画課が取りまとめ、課長通知として9月29日に公表した。政府が6月に閣議決定した規制改革実施計画において年末までの策定が求められていた。あいまいな記述が少なくないガイドラインを補完するもので、制度運用にも影響しそうだ。届出を行う業界関係者は必ず目を通しておく必要がある。
Q&Aは、「対象食品となるかの判断」や「機能性の根拠」など、全9項目87問で構成。規制改革実施計画では、届出で不備の多い事項などをまとめたQ&Aを策定するよう指示していた。ガイドラインなどと比べて改正手続きが簡便なため、今後、必要に応じて順次、追加や見直しが行われるものとみられる。
Q&Aをめぐっては、食品表示企画課がとりまとめた、いわゆる「NG」扱いの機能性表示例一覧が盛り込まれる可能性が取り沙汰されていたものの、今回は見送られた。NG表示一覧の取扱いをめぐっては、事業者の予見可能性は高まる一方で、届出表示の工夫やエビデンスの内容にかかわらず、一律に表示できなくなる可能性が指摘されていた。
今回のQ&Aで特に注目されるのは、最終製品の臨床試験と研究レビューに共通して必要な機能性の科学的根拠として、特定保健用食品と同様に、プラセボ摂取群との群間比較で肯定的な結果が得られている必要を明記した点だろう。
この点に関し、研究レビューについては、「前後比較での有意差しかみられない論文のみでは、機能性の科学的根拠としては不十分」と明記。ただ、研究レビューは「レビューワーが適切に判断することが前提」であり、レビューに前後比較の論文を含めること自体は「差し支えない」という。要は、前後比較だけでは不十分ということだ。
食品表示企画課はしばらく前から、前後比較で肯定的な結果が得られている論文だけを機能性の根拠とする研究レビューが届け出られた場合、不備指摘を行っている。ただそれ以前は、そうした研究レビューでも一部受け付けていた。Q&Aでルールを明確にした形だが、混乱が起こる可能性もある。