規制改革WG 食薬区分の運用見直しへ(2017.10.12)
健康食品をめぐる〝岩盤規制〟と言っても差支えのない食薬区分(46通知)の運用見直しに政府の規制改革推進会議が乗り出す。会議を構成する医療・介護ワーキンググループ(座長=林いづみ弁護士)が、今期(17年7月~18年6月)の主要審議事項に取り上げることを先月19日までに決めた。狙いは機能性表示食品の対象拡大。専ら医薬品リスト収載成分が、一律に制度の対象外とされる現状を是正したい考えだ。
同ワーキングは食薬区分の運用見直しを取り上げる理由について、専ら医薬品リストに収載されている成分本質は、「生鮮食品等に含まれているものでも一律に機能性表示食品制度の対象外とされ、機能性を謳うことが認められていない」と指摘。そのうえで、「合理的かつ実効性のある見直しを検討する」と言明した。「生鮮食品等」の「等」には、抽出物の起原原料など、生鮮食品に限定されない天然物が含まれるものと考えられる。
同ワーキングは、今期の主要審議事項として計4項目を挙げており、その中で食薬区分の運用見直しは、上から2番目に位置付けた。年内にも議論を開始し、改革提案を取りまとめたい考え。
食薬区分の運用を具体的にどう見直すかについて同会議の関係者は「まだ何も話し合われていない」とするが、考えられるのは、専ら非医薬品リストへの区分変更あるいは区分変更せずに機能性表示食品の対象にできるかどうかを、成分本質ごとに議論するケース。この場合、食薬区分をめぐるこれまでの業界の動きを踏まえると、γ‐オリザノール、タウリン、グルタチオンのほか、S‐アデノシルメチオニンが議論の俎上に乗る可能性が考えられそうだ。
同ワーキングは、規制改革推進会議の前身の規制改革会議において、食品の新たな機能性表示制度を実現させていた。座長代理は、大阪大学大学院教授の森下竜一規制改革委員が務める。森下氏は、機能性表示食品制度施行後しばらく経ってから、あくまでも私見として、食薬区分の規制改革に手を付けたい考えを繰り返し述べていた。
ただ、食薬区分の規制改革は一筋縄ではいかない可能性がある。
規制改革推進会議に絡む「規制改革ホットライン」には昨年末、食薬区分が機能性表示食品制度の阻害要因になっていると見て、産業団体や業界団体から見直し要望が寄せられていた。しかし所管する厚労省は、「事実誤認」「機能性表示食品制度は所管外だ」などとけんもほろろな回答を寄せていた。同ワーキングの審議対象に引き上げられることになったとはいえ、調整の難航も予想される。
タイミングも微妙だ。ここにきて専ら非医薬品リストに収載されているプエラリア・ミリフィカの安全性に焦点が当てられているためだ。そのような中でも食薬区分の運用見直しは実現するのか。実現するのだとしても見直しの程度はどれほどとなるのか。厚労省の対応に大きな注目が集まりそうだ。