報告書案、健康対応巡る記述多く 食衛法改正懇談会(2017.11.9)
15年ぶりとなる食品衛生法改正の方向性を今年9月から検討してきた「食品衛生法改正懇談会」(事務局・厚生労働省)は8日、最終会合(第5回会合)を開き、報告書案を取りまとめた。これまでの会合での議論の長さに正比例する形で、健康食品への対応をめぐる記述に文量が割かれることになった。
厚労省は来年の通常国会に改正食衛法案を提出したい考え。ただ、今秋の臨時国会が開かれなかったためスケジュールは流動的だ。「その意味では若干見えにくい部分もあるが、我々としては制度改正を出来るだけすみやかにに進めていきたい」(宇都宮生活衛生・食品安全審議官)としている。
近く成案がまとまる見通しの報告書には、食中毒対策からリスクコミュニケーションまで、健康食品に限らない食品衛生規制全般に関する幅広い論点からの提言が盛り込まれる。従って、中長期的な検討を必要とするものや、法改正が不要なものなども含まれる。そのため、提言の全てが法改正に反映されることはないが、厚労省は提言の全てについて具体的な対応を計画に進める方針を示している。
健康食品に関する主要な提言は、①製造工程管理や自主点検、原材料の安全性確保について、より実効性のある仕組みの構築②事業者から国への報告の義務化を含む健康被害の情報収集・処理体制の整備③呼称も含め、消費者や事業者に適切な情報伝達──の主に三つ。
健康食品製造事業者を行政が把握できる仕組みについては、法改正の柱の一つであるHACCPによる食品衛生管理の制度化に伴い創設されることになる営業届出制度で対応する方向だ。8日の最終会合では、懇談会の構成員が販売企業も把握される必要があると意見。ただ、厚労省は、製造企業を把握することで販売企業も同様にできると返した。