IC認証(インフォームドチョイス) 年内15社に 取得進む反ドーピング認証 (2017.11.9)
食品・サプリメントのアンチ・ドーピング認証事業を行っている英LGC社と同社の日本総代理店バイオヘルスリサーチリミテッドは6日、都内で記者説明会を開催し、LGC社の認証「インフォームドチョイス(IC認証)」の取得企業が年内にも15社に達する見通しであることを明らかにした。
同認証を取得している会社は8日時点で、ドーム、日本ハム、日本水産、スタミナ・スポーツ、日本新薬、ステアス、わかさ生活の7社だが、バイオヘルスリサーチリミテッドによると、この他に協和発酵バイオ、アルプロン、アスタリール、日本アムウェイ、日本クリニックなどが取得作業中で、この他の作業中企業も含めれば「年内に15社に増える見通し」(池田秀子・バイオヘルスリサーチリミテッド社長)だという(認証取得および作業中企業は別表参照)。日本新薬に続いて新たに認証を取得したのは、わかさ生活の「ボディリカバリー」と日本水産の「SPORTS EPA ULTRA PURE」。
中小企業に門戸を開く
LGC社の「インフォームドチョイス」は、中小事業者や健康食品会社も取得している点がひとつの特徴だとしている。日本アンチ・ドーピング機構(JADA)による食品・サプリメント認証取得企業(現在3社)が大手に集中しているのに対し、「インフォームドチョイス」では、中小規模が多い健康食品企業も取得。ステアスの菅田貴司社長は「うちは年商3億円の会社だが、(インフォームドチョイスは)中小企業にも国際展開の機会が得られる」としている。菅田社長によると、サプリを提供していたJリーグチームから、認証を取得していないことを理由に、サプリの利用を断られた経験があるという。
「インフォームドチョイス」は、最終商品だけでなく、原材料と生産施設での認証取得も可能。バイオヘルスリサーチリミテッドの池田秀子社長によると、「原材料で認証取得に取り組んでいる企業もある」という。今後、原材料メーカーや商社による認証取得が増える可能性もある。
運動選手向け標準認証に?
日本での食品・サプリメントの反ドーピング認証は、JADAや米国のNSF(第3者認証機関)なども行っているが、LGC社の「インフォームドチョイス」は、昨年12月の日本での業務開始以来、約1年で15社が取得と急拡大を見せている。
JADAは9月から、サプリメントの認証制度を検証するための有識者会議を設置して、議論を進めているが、「インフォームドチョイス」の取得企業がJADA認証取得の3社を大きく上回ったことで、同会議の議論にも影響しそうだ。
一方で、最近、サプリメントに起因する“うっかりドーピング違反”が増えていることで、競技団体側からは、事業者にも法的罰則や賠償などを通じて、責任分担を求める声が挙がっている。
日本サッカー協会(JFA)医学委員会の土肥美智子医師は「選手の取り組みには限界がある。メーカー側も責任を分担するスキームを考えるべき」と指摘する。食品・サプリメント事業者に対する反ドーピング認証のニーズは急速に高まっているといえよう。
JADA有識者会議の結論は来年2月にまとまる見通しだが、実際の認証状況を考慮すれば、「インフォームドチョイス」が有力な認証プログラムのひとつになる可能性もありそうだ。
【写真=説明会には多くの記者が集まった(11月6日、東京・赤坂)】