帝人 スーパー大麦、供給量5倍に 需給の逼迫感を解消(2017.11.9)
レジスタントスターチを豊富に含む「スーパー大麦 バーリーマックス」を原料供給する帝人(東京都千代田区)は、来年度に同素材の供給量を今年度の約5倍と大幅に引き上げる。同素材を巡っては昨年、試験的に販売したグラノーラが予想を上回る売れ行きをみせ、以降需給の逼迫感が伝えられていた。6日に行われた「腸の奥からの健康を考える研究会」主催の研究成果発表会で明らかにした。
同社事業部では、昨春に行われた臨床研究成果発表会で、「(スーパー大麦を)1000㌧動かすビジネスにしたい」と事業化に向けての展望を語っていた。来年度予定する供給量はその数字に「かなり近いレベルにきている」(渡辺一郎ヘルスケア新事業部門長=写真)といい、課題とされていた供給量問題を解消したかたちだ。スーパー大麦の供給元の豪州・ヘルシーグレイン社と協議を重ね、同大麦の作付面積を4~5倍に拡大する契約を結び、今後の需要に対応できる体制を整えた。
また同社は、これまで複数の商品開発に関わるなかで用いていた〝販売先との協業〟の言葉を改め、〝原料供給〟の文字を使い始めており、同社の事業として本腰を入れるラインに到達したことを表したといえる。
渡辺氏は、同社の事業基盤として繊維の本業のほかに医療を含めたヘルスケア事業を展開するなかで、新たな領域の柱として「スーパー大麦」を位置付けていると述べ、グループの技術を活用して同素材のエビデンスの構築も進め、事業の拡大を図っていくとした。
発表会では、岡山大学の森田英利教授がスーパー大麦摂取による腸内フローラへの影響を述べ、オープン試験と前置きしつつ、同素材の摂取2週間で抗肥満型の腸内細菌が増える傾向にあるとした。
また睡眠改善作用では、セロトニンの合成・制御に関わる細菌も増えるなど、その有用性を報告した。
【写真=渡辺一郎 ヘルスケア新事業部門長】