生鮮食品の届出拡大策 来年1月に集約か(2017.11.23)
6月に決定した規制改革実施計画に盛り込まれた機能性表示食品制度における生鮮食品の活用推進策に関して、消費者庁と農林水産省で本格的な検討が始まっているようだ。消費者庁ではすでに関係者のヒアリングを実施している模様で、早ければ来年1月にも見直しの概要が固まるとの見方もある。
機能性表示食品制度では、生鮮食品も機能性の表示が可能になっているが、課題も多く、11月21日時点で、届出総数1千件以上のうち、生鮮食品はウンシュウミカン、子大豆もやしなどわずか9件に止まっている。
こうした状況から、規制改革実施計画では「生鮮食品の機能性表示食品制度の活用促進」が盛り込まれ、「2017年度中に検討・結論。18年度に措置」とされた。
生鮮食品に関わる制度見直しについては、昨年12 月の規制改革推進会議のワーキンググループ(WG)会合で、日本健康・栄養食品協会(日健栄協)が、機能性表示食品制度の中に生鮮食品に特化した別枠の仕組みの創設を要望している。
生鮮食品の届出が少ない原因は、制度自体が基本的にサプリメント・加工食品を前提にしているため、機能性関与成分の管理や臨床試験の条件などが、生鮮食品にとっては高いハードルとなっていることがある。
消費者庁では10月頃から関係者へのヒアリングを本格化させている模様で、同時に農水省との調整も進めている様子だ。
ひとつの焦点となりそうなのが、両省庁が所管するJAS法で、同規格制度を活用した生鮮食品の届出拡大策も検討されている可能性がある。JAS規格については、6月に改正JAS法が公布され、農産物・食品の機能性成分も新たに規格化が可能となっている。
農水省ではすでにホウレンソウのルテイン、ウンシュウミカンのβ-クリプトキサンチン、べにふうき茶のメチル化カテキンの3成分を規格化することを決めている。
3成分のうち、ウンシュウミカンとべにふうき茶は、それぞれβ-クリプトキサンチンとメチル化カテキンを機能性関与成分として届出が行われており、残りのホウレンソウ(寒締め)も届出の準備が進められている。
ただ、機能性関与成分のばらつきが大きい、臨床試験が困難(プラセボが作成できない)などの生鮮食品の特質から、機能性表示食品制度から生鮮食品を除外することが検討される可能性も否定できない。
いずれにしろ、生鮮食品に関わる制度見直しは、実施計画で18年度の措置が決められているため、来年1月には消費者庁で生鮮食品の活用推進策がまとまる可能性が高いと見られる。研究レビューの整備も課題になりそうだ。