ウナギの〝卵〟巡る会見 研究者が新会社 サプリ開発 (2017.12.7)

鰻卵サプリ記者発表修正②

 ニホンウナギの完全養殖と同ウナギの卵を原料とするサプリメント製造プロジェクトが始動した。

 手掛けるのは新たに設立された「伊藤沖縄奇跡の森研究所」。ウナギ研究が専門の伊藤周治氏が社長を務め、早稲田大学研究院の矢澤一良教授、フードリボン(9月設立)の宇田悦子社長が取締役として参加する。サプリメントの受託製造は三生医薬が担当する。

 ニホンウナギの養殖研究は、幼魚からシラスウナギまでの生存率が低く、産卵数も激減している。商業生産には至っていない。伊藤氏らは、ホルモン剤を使わずに、雌ニホンウナギの抱卵期間を従来の8~18週から、40週程度まで長期化(自然抱卵期間に近い)させることで、養殖ウナギの卵より大きく、天然並みの大きさの卵の産出に成功したという。この卵から生まれる幼魚は、高い生存率が期待されるとしている。

 ウナギの卵にはレチノールやα‐トコフェノールなどの成分があるが、城西大学、富士フイルムとの共同研究で、体脂肪減少作用のアディプシンやアディポネクチン、生体防御のメタロチオネインなどの発現を促す効果が期待されるとしている。機能性については早稲田大学と岐阜薬科大学が近く発表する予定だ。

 伊藤氏らは、3000匹以上の大型雌ニホンウナギを確保しており、同ウナギの産卵を選抜して完全養殖に振り向け、その他の卵をサプリメントとして利用する考え。海外にも積極的に売り込む。来年には沖縄県大宜味村に養殖施設を建設する方針で、サプリメントは4月に販売開始。ニホンウナギの養殖量産化は2021年を予定している。

【写真=左から伊藤周治氏、矢澤一良氏、宮城功光・大宜味村村長、宇田悦子氏】

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