沖縄の健食業界 輸出が急増、復活へ取組み (2018.2.8)
市場の低迷が続いていた沖縄県の健康食品業界が、ここにきて復調の兆しを見せ始めている。2017臨床試験実施に向けての体制整備も動き出している。4月からは健食認証制度「ウェルネス・オキナワ・ジャパン」もスタートする。有望素材が多い地域だけに、業界ではブランドの再構築に取り組み、巻き返しを図る考えだ。
沖縄県健康産業協議会によると、同県の健康食品出荷額は2005年の200億円をピークに、08年には90億円に急減。以後、90億円台で推移し続けている。
こうした状況から、県と沖縄県健康産業協議会では、16年から「沖縄健康食品ブランド化推進基盤構築事業」をスタート。3カ年計画で沖縄健食商品の売上拡大策に取り組んでいる。
そのひとつが、中国、台湾などアジアを中心とした海外の販路拡大だ。沖縄県産業振興公社などが台湾、香港など各国で積極的なプロモーション活動を展開。県内インバウンドの急増も相まって、ここにきて輸出が伸びている。
財務省の沖縄地区税関が1月24日に発表した「主要食料品・飲料の輸出動向」(速報)によると、2017年は「健康食品・乳幼児用食品」が「飲料」を抜いて、輸出金額で初めてトップとなった。
主要食料品・飲料の2017年の輸出総額は、前年比約4億円増の24億5840万円で、うち「健康食品・乳幼児用食品」は同2億6千万円増の6億9977万円で、「飲料」の6億7千万円を抜いて、品目別でトップとなった。「飲料」は30年以上、輸出金額の首位を占めていた。「健康食品・乳幼児用食品」の内訳は公表されていないため、健康食品と乳幼児用食品の比率は分からない。
沖縄県健康産業協議会によると、フコイダンやビデンスピローサなどが好調で、香港、台湾、ベトナムほか、中東のバイヤーからの引き合いも増えているという。
エビデンス確立も急ピッチ
輸出が急伸する一方で、県内企業による機能性表示食品の届出に向けた取り組みも活発化している。
沖縄県は独自の健食素材が多いものの、コスト負担などの問題から、特定保健用食品や機能性表示食品などの保健機能食品が極端に少なく、機能性表示食品は、うるばな宮古の「宮古ビデンスピローサ」の一商品しかない。現在、シークワーサーの届出準備が進められており、この他、シマグワ(桑葉)やフコイダンなども今後の届出候補に上がっているようだ。
県内企業の届出が進まなかった背景には、コストの問題ほか、県内に臨床試験を行う体制が整っておらず、他県にヒト介入試験を発注するケースが多かった。このため県では、2018年度から「沖縄の有用生物資源を活用したヒト介入試験モデルの構築事業」を実施する方針で、琉球大学を中心とした臨床試験体制を整備する方針だ。
健食認定制度をスタート
また、4月からは健食を中心とした沖縄素材・食品の認定制度も開始する。安全・安心の品質をベースに、沖縄情緒や機能性などをポイントとして、幅広い視点から認証を行う予定で、第1回の認定は9月になる見込みだ。
沖縄県健康産業協議会によると、ブランド認証制度は、特に香港、台湾など輸出面でプラスの影響をもたらすという。また、機能性表示食品の届出促進と合わせて、エビデンスの確立による商品アピールにも認証制度を役立てる考えだ。