遺伝子組換え検討会 報告書案に産業界反発 (2018.2.8)


 消費者庁の「第8回遺伝子組換え表示制度に関する検討会」(座長・湯川剛一郎東京海洋大学教授)が1月31日に開かれ、報告書案(たたき台)が示された。任意表示の「遺伝子組換えでない」を見直し、「意図せざる混入率」が検出限界(α%)以下のものに限り、同表示を可能とする方法に改める。検討会では2月中にも報告書をまとめる方針だ。

 報告書案によると、表示義務対象範囲と義務表示「遺伝子組換え不分別」については、ほぼ現状の制度の通りとするが、任意表示の「遺伝子組換えでない」は、表示方法を二つに分割する。

 現行の制度では、IPハンドリングと呼ばれる分別生産流通管理(非遺伝子組換えと遺伝子組換え品を分別)を実施した「意図せざる混入率5%以下」の原材料については、「遺伝子組換えでない」、「遺伝子組換えでないものを分別」などと任意で表示できる。

 報告書案では、この部分を二つに分け(=図)、「意図せざる混入率」が5%からα%(検出限界)の範囲のものは、「遺伝子組換えでない」と表示できず、IPハンドリングが実施されている旨(例・遺伝子組換えでないものを分別)を表示できるに止める。そしてα%以下のものに限り、「遺伝子組換えでない」と任意表示できるようにする。

 この報告書案に対して産業界は猛反発を示し、武石徹委員(食品産業センター)は意見書を提出。「α%から5%までの商品が『遺伝子組換えでない』と表示できなくなれば、消費者が遺伝子組換え商品と誤解して混乱を招く」などと強い懸念を述べた。

 武石委員はこの他にも「α%をEU並みに引き下げれば、事業者は混入リスクを恐れて、米国から非遺伝子組換え農産物の輸入が出来なくなる」「非遺伝子組換え農産物価格が暴騰する」「米国を中心とするIPハンドリング制度が破綻する」「日本の多くの事業者が『遺伝子組換えでない』と表示できなくなる」「中小事業者に影響が大きい」など、多くの問題点を指摘した。

 座長の湯川剛一郎・東京海洋大学教授は、「報告書案を支持する意見がやや強いと感じられた」と述べ、2月16日の次回検討会でとりまとめる意向を示した。



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