遺伝子組換え検討会、議論が決着 検出限界「α%」設定(2018.2.19)


 消費者庁の「第9回遺伝子組換え表示制度に関する検討会」(座長・湯川剛一郎東京海洋大学教授)が16日に開かれ、前回提示された報告書のたたき台をもとにした報告書素案が示された。
 
 素案は前回のたたき台とほぼ同じで、「遺伝子組換えでない」表示(任意表示)を見直し、同表示の条件となる「意図せざる混入率」(5%以下)に、新たに検出限界「α%」を設定。「α%」以下に限って「遺伝子組換えでない」と表示できることが盛り込まれた。「α%」~5%のものは、分別生産流通管理が行われている旨を表示する。

 また、今回の素案では、「α%」以下の「遺伝子組換えでない」表示を担保するために、新たな公定検査法を導入することが盛り込まれた。検査法は定量検査が技術的に困難なため、サンプルを遺伝子解析する定性検査法となる見通し。

 消費者庁食品表示企画課の赤﨑鴨彦課長は公定検査の基準として、「(公定検査法では)コーデックス委員会の検査の基準である有意差95%以上がひとつの目安。それで精度は十分確保できると考えている」としている。

 今回の素案についても消費者団体と農協系委員は概ね賛成で、産業界系委員は反対の姿勢という構図は前回と変わらなかった。また、奈良県立医科大学教授の今村知明委員は、「α%以下に下限を下げる素案の方法だと『遺伝子組換えでない』と表示する製品はほとんどなくなり、IPハンドリング制度もなくなるおそれがある」と懸念を示した。これはすでに、武石徹委員(食品産業センター)など産業界系委員も同様の懸念を示している。

 次回検討会は3月14日で報告書をとりまとめる予定。最終会合となる。


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