特定適格消費者団体 措置命令16社に返金要請(2018.3.22)
関西の特定適格消費者団体が、機能性表示食品の広告表示をめぐり行政処分を受けた販売会社16社に対し、申し入れを行った。処分対象となった表示で商品購入した消費者に返金を求められる旨を通知し、申し出があれば応じるよう要請。また同団体に対し、返金実施状況の定期的な報告を行うことも求めた。
申し入れを行ったのは、大阪市中央区の特定適格消費者団体「消費者支援機構関西」(ケーシーズ、榎彰德理事長)。5日に申し入れを行い、経緯の一部と併せて9日公表した。
ケーシーズは昨年12月、16社に「問い合わせ」を行っていた。ケーシーズによれば、問い合わせでは、景品表示法違反(優良誤認)と認定された16社の広告表示は消費者契約法上の「不実告知」に当たると指摘。その上で、処分対象商品の販売数量、商品購入者に対する返金意志の有無について回答を求めたという。
ケーシーズは明らかにしていないが、「問い合わせ」に16社の全てから回答があったもよう。これを受けて申し入れを行った。
特定適格消費者団体は、差止請求権を行使できる適格消費者団体よりも強い権限を持つ消費者団体。消費者裁判手続特例法に基づき、被害者(消費者)に代わり被害の集団的回復を求める訴訟を提起できる。ただ、国から特定適格消費者団体の認定を受けているのは現在のところケーシーズを含め2団体のみ。
ケーシーズが昨年12月に行った「問い合わせ」をめぐっては、権限行使による損害賠償請求訴訟を視野に入れたものだとする見方も浮上していた。一方、今回の申し入れは、16社に自主的な返金措置を求めたもの。その上で今後提訴する可能性があるかどうかについてケーシーズでは「公表以上のことは現時点ではお答えしかねる」(事務局)として方針を明かさない。
消費者契約法では、勧誘時に重要事項について事実と異なることを伝える不実告知があった場合、契約を取り消せることを定めている。
一方で、16社に対する行政処分の根拠法は景品表示法の不当表示。これが消契法上の不実告知に該当するかは見方が分かれそうだ。ただ、適格消費者団体が提起したクロレラ新聞折込みチラシ差止請求訴訟をめぐり最高裁は昨年1月、広告も消契法上の勧誘行為に当り得るとする判断を示している。