健食懇・「機能性」の安全性消費者調査 (2018.4.26)
週1回以上特定の健康食品を使用している消費者624名を対象に、機能性表示食品の安全性に関するインターネット意識調査を業界団体「健康と食品懇話会」(健食懇)が昨年11月に実施し、調査結果を健食懇の機関誌「けんしょくこん2018」に掲載した。それによると、もし軽い体調不良が起こった場合の対応を尋ねたところ、およそ3割が「継続して摂取する」と答えたという。
機能性表示食品は「体調に異変を感じた際は、速やかに摂取を中止し、医師に相談して下さい」との表示が必ずある。その一方で調査の結果は、軽い体調不良であれば「摂取量も変えることなくそのまま継続して摂取する」と答えた人が13.1%、「摂取量を減らし様子を見ながら摂取を続ける」は16.7%と合わせて約30%に達した。「摂取を止め、もし体調が回復しても再び摂取しない」は31.6%にとどまった。
「もし起こった場合」と仮定の上で軽い体調変化について尋ねたとはいえ、摂取を続けると答えた人が約3割存在したことを健食懇は憂慮。「軽い体調不良事例を事業者がどのように情報収集すればよいか、利用者へどのように注意喚起を図ればよいかという課題が見出された」(けんしょくこん2018より引用)と指摘している。
この調査では、機能性表示食品といわゆる健康食品の安全性に対する印象や考え方も尋ねた。
その結果、いわゆる健食について「安全なイメージがあり、体調不良は起こらないと思う」と答えた人は49.2%、「健康食品によっては体調不良が起こると思う」は50.8%と拮抗。一方、消費者庁に届出されている機能性表示食品について「健康食品よりも安全性は高いと思う」と答えた人は55.3%、「特に変わらないと思う」は44.7%とその差は10%余り。このため消費者は、機能性表示食品といわゆる健康食品の安全性についてはさほど変わらないと捉えている可能性が示唆された。
ただ、機能性表示食品を「選んで購入したことがある」と答えた人(全体の20%)にその理由を複数回答で尋ねたところ、「安全性が高い、または安全性が信頼できると感じたから」が47.2%、「効果が期待できると感じたから」(60.8%)に次いで2番目に多かった。
一方で、機能性表示食品で万が一にも体調不良が起これば消費者が離れていく可能性も、この調査結果からは示唆されている。
「もし機能性表示食品の摂取を中止することになった場合、どのような理由で中止するか」を複数回答で尋ねたところ、「期待した効果が得られなかったため」が63.8%でトップ。それに次ぐのは「体調不良が起きたため」(32.2%)だった。それに次いで26.1%の回答を集めたのが「効果が無い、体によくない等の話を聞いたため」。風評が起きやすいことも示唆される結果となった。
摂取上の注意表示 その通り摂取8割
この他に調査では、安全性に関する表示内容に対する認識度も調べており、1日あたりの摂取目安量▽摂取上の注意▽摂取の方法──の全てについて9割前後の人が「読んでいる」と回答。また、8割前後の人が「すべて読んでおり、記載通りに摂取している」と答えた。ただ、「読んでいるが守って摂取していない」の回答も全体の1割前後あり、健食懇では「企業が適正摂取の重要性にについて啓蒙していく必要がある」(同)としている。
なお、健食懇は、同時に健康食品全般に関する消費者意識・実態調査も実施。定点観測的に毎年実施しているもので、最新結果は「けんしょく2018」に掲載している。