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　体脂肪を巡るトクホのヘルスクレームに多用されている「気になる（方に）」。この表現が今後新たに認められることはもはやないだろう。それに代わって今後認められるのは、摂取対象者をより正確に表現した「体脂肪が多めの方に」。「気になる」で許可を取得した企業の中には、パッケージ表示を変更する動きも出ている。

　トクホの審査を行う消費者委員会は先月23日、体脂肪に対する保健機能を訴求する茶系飲料「黄金烏龍茶」「日本のお茶」の2品について、認めて差し支えない旨を答申し、発表した。いずれも申請者は伊藤園で、関与成分は茶カテキン。認めたヘルスクレームも同じで「（前略）体脂肪が多めの方の食生活の改善に役立ちます」だが、申請当初の表示内容からは変更された。同社はもともと、体脂肪が「多め」ではなく、類似トクホで多く用いられている「気になる」で申請していた。

　ヘルスクレームが変更された背景にあるのは、消費者委でトクホ審査を担う新開発食品調査部会が昨年12月21日に行った審議。この日を境に従来の考え方が大きく改められた。

　消費委が公開している審議録によると、要は、「気になる」は主観的な表現であるため摂取対象者が不明確（体脂肪が少なくても気になる人はおり、そうした人も摂取対象者と誤認される可能性が考えられる表現）であること、ヘルスクレームの根拠論文の被験者はＢＭＩが25から30という高めの人に限られるという制限があること──。こうした主張を、最近の景品表示法に基づく健康食品の広告表示規制の動き（科学的根拠に則した表現を従来以上に強く求める傾向）も根拠にしながら展開した委員が現れ、結果、「体脂肪が多めの方」などとヘルスクレームを変更するよう伊藤園に指摘することになった（本紙第965号既報）。

　引き続き今年3月13日に行われた同部会の審議録によると、伊藤園は指摘に対し、「多め」ではなく、「高め」に変更したい考えを回答した。しかし、一部委員が「体脂肪率であれば『高め』でよいが、体脂肪であれば多い・少ないで表現するのが適切」「誤解を招く」などと指摘。「どちらでもいい」とする意見もあったものの、同部会はふたたび「多め」にするよう伊藤園に変更を要請。これを同社も受け入れたことで、消費者委として許可を認める答申を出す運びになったとみられる。

　この日の同部会では、同じく茶カテキンを関与成分とし、体脂肪への働きを訴求するトクホが他にも審議された。申請者は花王である。審議録によると、やはり「体脂肪が気になる」を含めたヘルスクレームを申請したとみられるが、結論は「継続審議」。審議の中で座長とみられる委員が、体脂肪については「『多めの方』『多い方』というのが部会としての統一した文言」などと発言している。

　一方、伊藤園は審議2日後の3月15日、以前許可を受けたトクホ3品のリニューアル発売を発表した。いずれも茶カテキンを関与成分とし、体脂肪が「気になる方」に訴求するものだが、既存品のパッケージで「気になる方に」としてきたところを「多めの方に」へ変更、または「体脂肪が多めの方に」を追記した。このヘルスクレーム変更の理由について同社では、「お客様に分かりやすく訴求」したなどと説明している。

　消費者委事務局の調べによると、トクホで体脂肪に関して「気になる」と表示する商品は、3月13日現在で113件ある。新開発食品調査部会の体脂肪を巡る審査方針変更を受け、今後、商品リニューアルなどの際に、表示内容を「多め」と改める動きが出てくることになりそうだ。トクホの考え方が土台にされている機能性表示食品にも、影響が出てくる可能性がある。