保湿めぐる〝抑制的運用〟解く 機能性表示食品で消費者庁(2018.5.28)


 消費者庁食品表示企画課長は26日、日本抗加齢医学会総会の中で行われた機能性表示食品制度に関するシンポジウムに登壇し、同制度における美容関連ヘルスクレームに関する同庁の考え方について「以前はかなり抑制的に運用していたものでも、今ではそうでもない事例がある」などと述べ、「保湿」に関しては現在、従来の抑制的な運用を解いていることを明らかにした。

 「肌の潤いを守る」などといった保湿作用を想起させる表現をヘルスクレームに含む届出は少なくないが、「保湿」の文言を直接含むものは限られる。現在のところ計5件だが、うち直近の届出は今年1月に届出情報が公表されたもの。ヘルスクレームに「肌の保湿力を高め、乾燥を緩和する」とあり、およそ1年2カ月ぶりに「保湿」の文言を含む届出が受理されていた。

 同課長は講演で、「基本的には、見た目の美容というものは、機能性表示制度と親和性がない」とし、見た目の美容が健康維持増進にどう関わるかを考える必要があると指摘。ただ、「言葉は多義的で受け止め方も様ざま」とした上で、「言葉の受け止めは消費者がどのように考えるかであり、その点は、状況を見ながら、我々としても対応していきたいと思っている」などと述べた。

 一連の発言は、座長を務めた森下竜一氏から、「美容訴求は消費者庁のハードルが高い。今のところ保湿だけ。弾力あたりはいいのではないかと思うが、どうか」などと問われて答えたもの。

 「保湿」をめぐっては、グルコシルセラミドを関与成分にした特定保健用食品の許可審査の最終段階で、厚生労働省から、「食品に保湿という言葉を使うことはちょっと難しい」(2015年12月18日第30回新開発食品調査部会議事録)などと、薬機法の観点から難色を示したとみられる意見が上がっていた。


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