GL改正に伴い消費者庁が新運用 (2018.6.7)
届出受理済み機能性表示食品の変更届を行う場合、機能性関与成分の分析試験方法に関する資料開示を行う変更も併せて行わないと、変更届を受理しない制度運用を消費者庁食品表示企画課が進めている。3月28日に施行した第三次改正ガイドライン(GL)に基づく運用だが、分析方法資料の開示を急ぎたい考えも透けて見える。一部マスキング(黒塗り)した上での資料開示も認められているが、その必要性を同課が納得しなければ、変更届が何度も差し戻される事態に陥ることにもなりそうだ。
原則全面開示
機能性関与成分の定量試験や定性試験といった分析方法を示す資料は以前から届け出る必要はあったものの、同庁はこれまで非開示資料として扱ってきた。だが、一昨年、「機能性関与成分の取扱い等に関する検討会」報告書で「原則公開とすることが適当」と提言されたこともあり、第三次改正GLで方針を180度転換。現在、過去に受理した全ての届出にも遡る形で「原則全面開示」する制度運用を行っている。
「分析方法を示す資料が適切に開示されなければ、変更届出が受け付けられないため、他の届出内容の変更もできない」。消費者庁食品表示企画課長は5月24日、健康食品産業協議会主催の講演会に登壇した中で、業界関係者に対してこう注意喚起。「表示見本をさっさと直したいという場合も、分析方法をどう墨塗りするかの調整が付かないとアウトになる」とも述べた。
ただ、第三次改正GL施行時は、「分析方法を示す資料の開示のみを目的に直ちに変更届出を行う必要はないが、他の目的で変更届出を行う際に併せて変更願う」などとしていた。当時と現在ではニュアンスが大きく異なり、ここにきて出来るだけ早く分析方法資料を開示するよう求める姿勢に転じたようだ。その中で黒塗りを認める範囲が焦点になっているとみられる。
届出日として3月28日以降に受理された届出については、機能性関与成分の分析方法を示す資料が公開されている。これらについては黒塗り部分がない。
また、同日以降、変更届の際に分析方法資料の公開を行う届出も出ている。同庁によれば、5月15日時点で、GABA、難消化性デキストリン、ルテインの3成分について、全ての情報を開示した上での分析方法資料の公開が行われているという。前例がある以上、少なくともこれら3成分については今後も全面開示が求められることになりそうだ。
一方で、5月24日に講演した同課長の話によると、今のところマスキングを施した分析方法資料の開示実績はない。ただ、「いくつか今、事業者とご相談させてもらっている」と述べており、マスキングした分析方法資料の開示を求めた事業者が複数存在するもようだ。だが、同庁はマスキングの必要性を認めなかったとみられる。
一部黒塗りは「限界事例」?
分析方法資料のマスキングに関する同庁の認識は「対象はかなり限定的」(先月24日同課長講演資料より)というもので、マスキングを認めるのは「限界事例」のように捉えている節がある。
実際、マスキング対象範囲の考え方を同庁は第三次改正GL施行と同時に改正した「質疑応答集(Q&A)」に追記しているが、非常に狭い範囲にとどめている。
Q&Aの「問33」によると、黒塗りを認めるのは「届出者等が有する独自の分析方法であり、届出者等の権利、競争上の地位、その他正当な利益を損なうおそれがある」情報の中でも、機能性関与成分を抽出する前処理工程(溶媒の混合比率、温度又は時間)▽機能性関与成分の分析条件(移動相の溶媒混合比率)──などに限定。さらに、そのような情報でも「第三者が分析方法の妥当性の検証ができる範囲に限り、部分的にマスキング対象とすることができる」などとしている。