食薬区分運用改善を答申 規制改革推進会議 (2018.6.7)


 食薬区分や機能性表示食品制度の運用改善などを盛り込んだ今後の規制改革に関する答申を、政府の規制改革推進会議が4日に取りまとめ、安倍晋三首相に提出した。答申を踏まえ、近く、政府は工程表を定めた規制改革実施計画を策定し、閣議決定する。首相官邸によると、安倍首相は答申を受け、「規制改革こそアベノミクスのメインエンジンだ」と述べた。

 答申の柱の一つは、放送事業への新規参入や放送コンテンツの海外展開、またインターネット同時配信を促すなどとする放送分野の規制改革。

 一方、機能性表示食品制度の運用改善や、機能性表示食品の対象拡大を推進する狙いがある食薬区分の運用改善は、健康寿命延伸の観点から検討されたもの。特に、食薬区分の運用改善は、同会議を構成する医療・介護ワーキンググループの今期主要審議事項の一つになっていた。

 食薬区分の運用改善については、厚生労働省と消費者庁に対し、「食薬区分に係る考え方の明確化」を2018年度中に検討・結論・措置(実施)するよう求めた。具体的には、食薬区分の「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」に収載されている成分本質を元から含む生鮮食品や、その成分本質を利用した伝統的発酵食品およびサプリメント形状の食品など加工食品の医薬品該当性の考え方に関し、Q&Aにまとめて周知徹底するよう厚労省に求めた。

 また消費者庁に対しては、厚労省のQ&Aを踏まえ、「機能性表示食品の届出の適否を判断する過程を明確化」した上で、届出に関する質疑応答集(Q&A)などに反映して周知するよう求めた。

 機能性表示食品のガイドラインでは、機能性関与成分について、専ら医薬品リストに含まれないことを確認するよう求めている。そのため前述のような生鮮食品や加工食品は、食品としての安全性や機能性が確認されていても、一律的に届出が不可能。そのような現状を、法律やガイドラインを改正するのではなくQ&Aを通じて効率的に解消することで、機能性表示食品の対象成分を拡大させる狙いだ。

 食薬区分の運用改善では他にも、厚労省に対し、「食薬区分に関する相談・申請についての体制整備」を実施するよう提言した。18年度中に検討・結論、19年度上期までの実施を求めている。

 これは、新規物質に関して食薬区分を照会する企業と厚労省双方の「効率化」に資するものに関しては、都道府県薬務課が食薬区分を判断するための必要資料を確認していることを条件に、現状では厚労省が認めていない企業から厚労省への「直接照会」を可能とする体制を整備するというもの。業界団体からの要望を汲み入れた。

 一方、機能性表示食品制度の運用改善に関しては、届出件数が現状では限定的な生鮮食品に関する運用改善を要求した。

 具体的には、農業・食品産業技術総合研究機構が提供する研究レビューの活用をより促進することで、現状よりも簡易に届出が行えるよう促す。そのため、当該研究レビューの改善や拡充に向けた計画表を作成し、18年度中に公表するよう求めている。


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