機能性とトクホ すみ分けが課題に 消費者委も問題意識 消費者庁「今後検討し整理へ」(2018.6.19)


 消費者委員会は14日、施行から3年が経過した機能性表示食品制度の検証結果と今後の取り組みなどについて消費者庁食品表示企画課長からヒアリングを行い、意見交換した。委員長は、制度の根幹である「事後チェック」が適切に行われているとの認識を示し、消費者庁の制度運用を肯定的に評価。一方、今後の課題として、特定保健用食品(トクホ)と機能性表示食品のすみ分けを検討する必要があると指摘し、現状のままでは「トクホの意義がどこにあるのかという話にもなりかねない」と危惧した。

 今回のヒアリングは、消費者委が今年5月答申した消費者基本計画工程表に、「平成29年度に施行後2年間の施行状況について検証し、その状況を踏まえた上で、平成30年度以降に必要な検討を行う」とあることなどを理由に行ったもの。

 ヒアリングを受けた食品表示企画課長は、今後の制度の重点課題として、①機能性表示食品制度等に関する消費者への普及啓発の推進②適正な表示による消費者への情報提供③機能性の科学的根拠に関する質の向上──の3点を挙げた。この3年間で重点的に取り組み、検証してきた安全性の確保、機能性の科学的根拠、それらを担保するための品質管理に加え、同3点にも新たに力点を置く必要があるとした。

 同課長は、「安全性、機能性をいくら担保しても、(制度を)分かってもらえないと活用もしてもらえない。それは制度としても不幸。まずは消費者に(制度を)理解いただき、分かりやすい表示を通じて消費者に訴求する情報提供のあり方を検討する必要がある」などと述べた。

 一方、委員からは、「エビデンスの質を高めていけば、ますますトクホとのすみ分けが理解しづらくなる」と指摘する声も上がった。同課長は「同じ問題意識は持っている」としたうえで、制度の観点からのトクホと機能性の差別化について「今後検討し、どこかの時点で整理をつけたい」と述べた。トクホ制度に手を加える必要があると考えていることを示唆した。「トクホならではの制度として疾病リスク低減表示がある。これができた経緯などに問題意識をもっている」という。

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