薬機法違反容疑 卸販売で老舗企業社長ら BtoB資料で過剰表現か(2018.7.12)


 医薬品医療機器等法(薬機法)違反容疑で都内健康食品関連会社の社長らが5日、警視庁に逮捕された。未承認医薬品(効能効果を標ぼうした食品)を「卸販売」した疑いをもたれている。一般消費者ではなく事業者間取引における事案だが、その前段として昨年11月、同社が健康食品を卸していた販社の社長らが、同様に薬機法違反容疑で警視庁に逮捕されていた。

 この販社から遡る形で卸元まで検挙されたのが今回の事件。卸元が作成した事業者向け商品資料やチラシが証拠物とされたようだ。医薬品のような効能効果を記載していたとみられるが、「あらゆる病気の予防に効果がある」などと過度に行きすぎた書きぶりだった可能性がある。

 警視庁によると、未承認医薬品を卸販売していた薬機法違反の疑いで逮捕されたのは、健康食品製造販売業のワイドプランニング(東京都世田谷区)の役員2名。「あらゆる病気の予防に効果がある」などと医薬品でもあり得ない効能効果を標ぼうしながら、およそ86万円分を都内の健康食品販売会社に卸していたという。

 ワイド社は独自素材を配合した健康食品を代理店に卸したり、相手先ブランドでの供給を手掛けたりする1983年設立の老舗企業。消費者への直接販売は原則行っていなかった。関係筋によると、逮捕された役員2名は「医薬品ではない」などとして容疑を否認している。

 ワイド社が健康食品を卸していた都内健食販社は昨年11月、役員2名が同法違反容疑で警視庁に逮捕されていた。この販社は、「がんに効く」などと標ぼうしながら未承認医薬品を一般消費者に販売していたとされる。販売していたのはワイド社が卸した健康食品だった。

 前述の関係筋によると、この販社の捜査で警視庁は、医薬品のような効能効果が記載された当該商品に関する資料などを押収していた模様。その中に、販社が作成した消費者向け資料などに加え、ワイド社作成の事業者向け資料やチラシもあったようだ。

 これを受けて警視庁はワイド社の捜査に着手した模様で、「(ワイド社作成の)資料やチラシが問題視されたのだと思う。ただ最近では、そうした効能効果を書いた商品資料などは作っていなかった」と言い、過去に作成した資料などが逮捕につながった可能性も考えられる。
 警視庁の広報担当は「捜査の詳細については答えられない」としている。

過去にも同様の事例
 こうした事業者間取引上の薬機法違反事件は稀といえるが、過去にも例がある。2011年、痩身効果を標ぼうした未承認医薬品を販売していたなどとして、ダイエット訴求のサプリメントをネット通販で販売していた通販事業者とともに、同品を製造した健康食品企画製造会社の役員らが未承認医薬品製造の疑いで逮捕されている。

 この際は、製造元が作成した商品企画書に、医薬品のような効能効果の記載があったことが焦点の一つにされていた。今回のワイド社のケースでも、原則事業者間のみでやり取りされる商品資料が問題になったとみられるが、販社が消費者に提供していた可能性もゼロではないだろう。また、いくら事業者間に限定された資料だとしても、書きぶりがあまりに過剰と判断された可能性も考えられる。


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