SRを製品臨床で再検証 両者の溝埋める論文 (2018.7.12)


 機能性関与成分のシステマティックレビュー(SR)で届け出た機能性表示食品の有効性を、最終製品の臨床試験で再検証した論文が、査読付き誌「薬理と治療」の6月号に掲載された。あくまでも成分としての研究結果を機能性の科学的根拠とするのがSRによる届出だが、実際に消費者が購入する市販品に同様の機能性があるかどうかを、二重盲検プラセボ対照並行群間ランダム化比較試験で改めて確かめた。試験費用は届出者自らが負担。機能性表示食品の届出を行う企業姿勢として注目したい。

 試験を実施し論文発表したのは、健康食品通信販売のリフレ(安野明子社長)。同社が現在販売している、ビルベリー由来アントシアニン、ルテインを機能性関与成分にしたサプリメントの機能性表示食品(商品名=ブルーベリー&ルテイン)と同一製品を使った臨床試験を通じ、機能性関与成分のSRで届け出たヘルスクレームと同じ有効性が確認できるかどうかを検証すると同時に、新たな機能性も検証する試験を行った。

 同品は、ビルベリー由来アントシアニンよる「眼の疲労感を改善する機能」と、ルテインによる「網膜の黄斑色素を増やすことで目の黄斑部の健康を守る機能」の2機能を同時に表示している。

 SRで受理された届出商品の機能性を最終製品の臨床試験で再検証することは一見無駄な研究投資にも思えるが、「研究に無駄はない」とリフレの勝田徹・商品企画部参与。「(機能性関与成分の)SRに加えて市販製品としての有効性を検証することで、より質の高いエビデンスを得られることになる。期待する結果が出ないこともあるだろうが、検証を重ね、データを蓄積していくことが大切。健康食品を販売していく以上、企業姿勢としても研究投資は必要と考えている」と話す。

 この論文では、実施した臨床試験を「ポストシステマティックレビュー研究」と呼んでいる。こうしたSR後に最終製品としての有効性を確かめる臨床研究は、機能性表示食品ではおそらく初めて。最終製品の臨床試験を届け出た場合と比べても、機能性関与成分のSRが行われている分、有効性の確からしさをより高い位置で担保できるといえそうだ。

 論文によると、届出商品と同じ設計のビルベリー由来アントシアニン40㍉㌘、フリー体ルテイン6㍉㌘含有食品を摂取した群(18名)は、それら2成分を含まない以外は同じ設計の食品を摂取したプラセボ群(19名)と比べ、VDT作業後の眼疲労感が摂取12週間後に有意に改善し、黄斑色素光学密度、血清中ルテイン濃度、コントラスト感度についてもそれぞれ有意に上昇したという。同時に安全性についても検証しており、臨床上問題となる事象は認められなかったとしている。


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