昨年度の厚生労働省科学研究費補助金(厚労科研費)で健康食品の広告に関する研究が行われ、研究チームは、医薬品医療機器等法に基づき無許可医薬品として取り締まることも考慮すべきだとの考えを研究報告書で示した。広告に誘発されて健康食品を使用した結果「健康被害を生じている事例があるのであれば」との前提条件を付けてはいるが、健康食品の摂取で体調不良を感じたことのある人が一定の割合で存在しているとも指摘している。
この研究を行ったのは、帝京平成大学の白神誠・薬学部教授ら。厚労科研費で一昨年度に引き続き実施した「医薬品等の広告監視の適正化を図るための研究」の一環として新たに行った。
報告書によれば、研究の目的は、「健康食品の有効性に関する広告の実態を把握するとともに、それが消費者に健康被害をもたらすことがあるのかどうか」を検証すること。健康食品や広告の専門家からの意見聴取も行っており、研究班には、消費者庁食品表示調査官、国立健康・栄養研究所関係者、ジャーナリストらが加わった。
報告書は健康食品の広告に対して厳しい見方を提示している。「一般用医薬品の広告が厳しく規制されている一方で健康食品の有効性に関する広告が比較的野放し」「医薬品(の広告)に該当するおそれが十分にある」──などと指摘。加えて、こうした健康食品の広告を巡っては「一般用医薬品業界の不満がある」との記述もある。医薬品広告の監視指導の適正化を図る目的の研究を行う中で、そうした声が一般薬業界から挙がっていることが、今回の健康食品広告の検証につながったようだ。
報告書は、健康食品の広告は景品表示法と健康増進法で規制されることにも言及。ただ、両法律は「健康保持増進効果を表示することそのものを禁止しているわけではない」とし、「そのために健康食品の広告では、医薬品の広告では好ましくないとされている医師等の推奨や使用者の経験談、利用者のアンケート結果などを駆使して消費者に利用を促している」などと指摘している。