平成29年国民健康・栄養調査 高齢者の低栄養、女性で2割(2018.9.20)


 厚生労働省は11日、2017年に実施した「国民健康・栄養調査」の結果を公表した。今回の調査で重点とされた高齢者の栄養、筋肉量については、低栄養傾向の割合が男性の約1割に対し、女性が約2割であること、四肢の筋肉量は男女ともタンパク質摂取量が多く、かつ肉体労働時間が長いほど有意に増加していることなどが分かった。

 調査対象は、2017年国民生活基礎調査で設定された単位区から、層化無作為抽出した300単位区内の全ての世帯・世帯員。調査期間は昨年の11月中で、身体状況、栄養摂取状況、生活習慣の調査を行った。

 実際の調査対象世帯数は5149世帯で、調査を実施した世帯数は3076世帯。調査人数は6007人~6962人となった。集計は国立医薬基盤・健康・栄養研究所が行った。

 2017年の重点調査分野は、高齢者の栄養・筋肉量。少子高齢化が急速に進み、高齢者の要介護者が増加する中で、高齢者の身体活動のポイントとなる栄養と筋肉量に焦点が絞られた。

 調査の結果、高齢者(65歳以上)の栄養状態では、低栄養傾向(BMIが20㎏/㎡以下)の割合が、男性で12.5%、女性で19.6%となった。ただ、この水準はここ10年間で有意な増減は見られないとしている。高齢者の年齢層別では、男女とも年齢が上がるにつれて割合は大きくなり、80歳以上が最も高くなった。

 年齢別の目標とするBMIの範囲は、18歳~49歳が18.5~24.9㎏/㎡、50歳~69歳が同20~24.9、70歳以上が21.5~24.9。これらのBMI範囲に届かない者の割合は、男性が70歳を超えると、それまでの一桁台から20%台に跳ね上がるのに対し、女性は50歳から30%近くに急増。70歳以上では40%近くに達している。

筋肉量、タンパク質摂取と労働時間に比例して多く
 また、女性は20歳~29歳で、30歳~49歳の10%台に対し、21.7%と高い割合。女性は年齢層を問わず男性よりも低栄養状態に陥りやすい可能性がある。

 高齢者の四肢の筋肉量(骨格筋指数)は、平均値で男性が7.7㎏/㎡、女性が同6.5で、男女とも年齢が上がるほど有意に減少しているとした。

 高齢者(60歳以上)のタンパク質摂取量別の骨格筋指数は、男性でタンパク質摂取上位群(1日あたり87.3g以上)が7.9、同下位群(同67.7g未満)は7.4。女性は上位群(76.2g以上)が6.6、下位群(599.9g未満)が6.4だった。男女ともタンパク質摂取量が多いほど、有意に指数が高くなっている。肉体労働時間と骨格筋指数の関係では、男性が「肉体労働をしていない」場合の骨格筋指数が7.6で、同1時間以上が8。女性は同6.4、6.6だった。

 一方、20歳以上のやせの者(BMIが18.5㎏/㎡以下)の割合は、全体平均で男性が11.6%、女性が4.2%で、ここ10年間で大きな変化はないとしている。

 女性の年齢別やせの割合は、20~29歳で21%、30~39歳で13.4%、40~49歳で10.6%、50~59歳で10.1%だった。1981年の同割合は、20~29歳が13.4%、40~49歳は4%で、各年齢層ともに、ここ40年間で増加基調が続いている。

 次回の2018年調査の重点テーマは「所得等社会経済的状況」。所得や居住状態、労働状況、買い物環境などが、生活習慣病にどう関係しているのか、実態の把握を目指す。19年調査は、現行の「第2次健康日本21」の次期計画作りに向けた調査内容となる見込みだ。

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