「寝つき」新規受理困難か 睡眠改善薬と誤認懸念?(2018.9.20)


 GABAで睡眠の質を高める働きを訴求する機能性表示食品の届出が久々に受理された。だが、以前の届出表示にあった「寝つき」の文言はない。消費者に睡眠改善薬と誤認される可能性を懸念した消費者庁が、確認を求めていたといわれる。

 7日の届出情報更新で届出資料が公表された。GABAを機能性関与成分とし、睡眠の質に対する機能性を訴求する届出が受理されたのは昨年10月末以来(届出日としては9月)。以前の届出はヘルスクレームについて「睡眠の質(寝つき、眠りの深さ、すっきりとした目覚め)の改善に役立つ」などとしていた。

 今回新たに受理されたハウスウェルネスフーズによる届出では、「眠りの深さ」「すっきりとした目覚め」の文言は引き続き盛り込まれた一方で、「寝つき」がない。この文言を取り入れたヘルスクレームで受理実績があるのは、最終製品臨床による届出を除き、多くの最終製品販売企業が活用できるものに限るとGABAのみ。あえて外したと推測するのが妥当だろう。

 焦点となったのは、睡眠改善薬の効能効果表現との兼ね合いだとみられる。一般用医薬品(第2類)の睡眠改善薬の代表的商品「ドリエル」の効能効果は、「寝つきが悪い、眠りが浅い」といった一次的な不眠症状の緩和。これを引き合いに出し、消費者庁は届出書類の確認時、ヘルスクレームの再考を事実上促していたとされる。

 一方、今回受理された届出では、「眠りの深さ」の文言がそのまま通った。複数の届出関係者によれば、この文言に対しても消費者庁は確認を求めていたとされる。書類確認の途中で考え方を変えたのかもしれない。

 今回の届出から推測できるのは、「寝つき」のように入眠に関わるヘルスクレームは今後受理されない可能性が高いこと。他方、「すっきりとした目覚め」「起床時の疲労感や眠気を軽減」などといった目が覚めた後に関わる機能性は、今後も引き続き通りそうだ。「睡眠」や「睡眠の質」に対する機能性を訴求すること自体にも問題はないと考えられる。

 「寝つき」の文言をヘルスクレームに盛り込んだ届出は14日現在8件存在する。今回の場合、不備があるわけでもないため、過去に遡って指摘する可能性は低そうだ。だが、「寝つき」のヘルスクレームを今後受理しないのだとすれば、過去との整合性が問われることになる。


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