届出後分析 公開求める 消費者庁事務連絡 (2018.11.8)
消費者庁は1日、10月25日付で健康食品産業協議会や日本健康・栄養食品協会など業界5団体宛てに発出していた機能性表示食品に関する事務連絡を同庁ホームページ上で公表した。届出後の分析実施と健康被害の情報収集に関し、各届出者と業界団体に望む自主的な取り組みをまとめたもので、推進していくよう求めている。届出後の分析実施状況を積極的に公表することも求めた。
公表目的、幅広い周知
この事務連絡は、「機能性表示食品の届出後における安全性及び機能性を担保するための取組並びに健康被害の未然防止・拡大防止を図るための取組推進依頼について」として同庁食品表示企画課が発出したもの。日本通信販売協会、日本チェーンドラッグストア協会や日本抗加齢協会を含めた業界5団体に発出した後、機能性表示食品制度に関わる業界関係者に広く周知する目的で、ホームページで公表した。
事務連絡の背景には、機能性表示食品に関する消費者庁の17年度委託調査事業「届出後における分析実施状況および健康被害の情報収集」の報告書がある。
特に、届出後の分析実施状況の公表については、届出者へのアンケート調査の結果、ほとんど行われていない実態が浮き彫りになっていた。調査への回答があった届出953件のうち、ウェブサイトなどで公表していたのは9件(0.9%)に過ぎなかった。
ただ、届出後分析実施状況を公表しない理由もある。一つは、届出ガイドラインに公表すべき具体的な項目の記載がないことだ。アンケート調査では、その点を非公表の理由(どのような項目を公表すべきか分からない)とする声が比較的多かった。また、そもそも「消費者ニーズがない」などとする声も多く上がっていた。
しかし、事務連絡では、「情報を公開しない限り、消費者が届出資料に記載された届出後の分析が正しく実施されているかを確認することはできない」などと指摘。届出後の事後チェックを適切に機能させることなどによって「消費者の本制度(機能性表示食品制度)への信頼性を確保するため」にも、届出後分析実施状況の積極的な公表を求めている。
自主的取り組み促す
報告書への対応にあたり消費者庁は、ガイドラインの改正など、法的強制力の伴う改善策を講じることも可能だったと考えられる。ただ、事務連絡にとどめ、業界団体や届出者に自発的な取り組みを求めた格好だ。「丸投げされたと見ることもできるが、業界の力が試されていると見ることもできる。個人的には後者だと捉えている。すぐには答えを出せない要求も多いが、しっかり対応していきたい」──ある業界団体の幹部は取材にこう話した。
事務連絡ではこの他、原料の基原の確認についても求めている。「原料によって組成が異なる可能性のある成分」は、品質確保のために基原の確認が必要不可欠と指摘した上で、「こうした情報は漏れなく届出資料に記載し、第三者が確認できるようにされたい」などと要請。加えて、「原料会社(の証明書)のみに任せるのでなく、届出者の責任において適切に確認することが望ましい」とし、機能性関与成分を含む原材料を提供する企業任せにしないよう求めている。