ホップでアルツハイマー抑制 サッポロビールと京大がマウスで確認(2014.2.6)
サッポロビール㈱(東京都渋谷区)と京都大学・笹岡紀男教授ら研究グループは1月30日、ホップ抽出物にアルツハイマー病の発症を抑える効果があることを、モデルマウスを用いた試験で明らかにしたと発表した。同研究結果を受けサッポロビールでは、同エキスを含有する商品の開発・上市に取り組むという。
同研究ではまず、アルツハイマー病の原因とされる神経細胞死を引き起リーニングし、ホップ雌株の球花エキスを同定。さらに同エキス中の阻害活性を持つ主要成分を精製し、その構造について共鳴分光法により「GarciniellptoneHC」と呼ばれる物質であることを明らかにした(なお同成分はビールにはほとんど含まれていないという)。
アルツハイマー病モデルマウスを用いて同エキス2㌘を含んだ水を若齢期から飲用させた。水迷路を用いた空間学習の効果を測定する行動実験の結果から、エキス非摂取マウスでは9カ月齢から記憶・学習能力の低下が見られたが、エキス摂取マウスでは低下が観察されたのは15カ月齢以降で、アルツハイマー病の発症が顕著に遅延することが判明した。また18カ月齢の高齢マウスでは不安行動の欠落(情緒異常)が認められたが、同エキスを摂取したマウスでは、情緒以上は観察されなかった。
さらに、脳内アミロイドβの蓄積を調べた染色結果から、エキス摂取マウスは非摂取マウスと比較し有意にアミロイドβの沈着が減少していた。これらの結果から同エキスはγセクレターゼ活性を抑制し、アミロイドβ産生を抑制することで、アルツハイマー病モデルマウスの発症を大幅に遅延させる効果を持つことが明らかになったと結論づけた。
同研究成果は米国の科学誌「PLoS ONE」に掲載された。