健食の課題、次々指摘 日弁連が機能性表示でシンポ(2014.2.6)
日本弁護士連合会は4日、消費者庁で検討が進められている健康食品の機能性表示制度をテーマにしたシンポジウムを都内で開催した。日弁連は機能性表示制度の創設に反対の立場を表明しており、昨年11月には、機能性表示を特定保健用食品(トクホ)や栄養機能食品にとどめることや、健康食品の表示や広告の執行力強化などの規制強化を求める意見書をまとめ、関係省庁の大臣や消費者委員会委員長などに提出した。
シンポジウムは、群馬大学教授の高橋久仁子氏、日本健康食品規格協会理事長の池田秀子氏による講演と、講演後に両氏と主婦連合会事務局長の佐野真理子氏を加えたパネルディスカッションが行われた。
高橋氏は、健康食品の問題点として、有害物質や医薬品成分を含むものがあると指摘したほか、濃縮などにより特定成分を大量摂取する恐れがあり、例としてアマメシバによる閉塞性細気管支炎や、ウコンによるアレルギー性の肝障害といった健康被害が報告されていることを紹介した。
また、健康食品の広告については、効果があると直接表示しなくとも行間を読ませて消費者を期待させると語り、こうした手法を「期待扇動商法」だとして、消費者に警戒するよう呼び掛けた。
池田氏は制度の参考とされている米国のダイエタリーサプリメント制度で求めている、サプリメントの安全性や品質の確保などについて解説。その上で、国内の制度創設に向け、健康食品の定義化を求めたほか、原材料の安全性確保、国際対応を視野にしたGMP(適正製造規範)、事業者や製品の届出制、有害事象の報告義務化を課題に挙げた。
パネルディスカッションは機能性表示に反対の高橋氏と佐野氏、科学的根拠に基づく表示に前向きな池田氏という図式で進んだ。佐野氏は「健康食品業界に信頼性はない。広告表示や安全性の問題が多い現状で機能性表示を認めると、(表示は)巧妙化する」と語り、制度化の弊害を強調。高橋氏は農産物の機能性表示にも言及し「産地、栽培方法、時期によって含まれる成分が違う。やれるものならやってみろと言いたい」と突き離した。
【写真はパネルディスカッションの様子】