食薬区分 新通知発出へ 考え方を明確化 Q&A形式で (2019.3.7)
厚生労働省は今月末までに、食薬区分にかかわる新たな担当課長通知を発出する。「専ら医薬品リスト」に収載されている成分を含む食品の医薬品該当性に関する考え方を、Q&A形式で明確化した上で周知する。機能性表示食品のほか健康食品全般に対し、通知で示す考え方を適用する。昨年6月に閣議決定された規制改革実施計画を受け、監視指導・麻薬対策課で調整していた。
先月28日に開催された政府の規制改革推進会議ワーキンググループ会合でQ&Aの骨子案を示した。機能性表示食品の機能性関与成分の対象範囲が一部拡大される可能性がある。
骨子案によると、Q&Aで明確化するのは、「専ら医薬品リスト」収載成分を元から含む生鮮食品や、その成分本質を利用した加工食品について、「原則として当該成分を含むことのみをもって医薬品とは判断しない」こと。医薬品該当性の判断は食経験や製品の表示・広告などを踏まえて製品個別に「総合的に判断する」ものであることもQ&Aに盛り込む。厚労省では、これらは特段新たな考え方ではないとしている。
「専ら医薬品リスト」収載成分を元から含む生鮮食料品を「発酵」も含む形で加工した食品に関しては、「製造工程で当該成分の抽出や濃縮を目的とした加工」をせず、かつ「食品由来ではない当該成分を添加していない」場合について、当該成分を含むことだけをもって医薬品に該当するとは判断しないことをQ&Aで明確にする考え。元から含まれているのではなく、発酵することで当該成分を含有するようになる場合も同様に取り扱う考えを示している。
監麻課では、製造工程で当該成分を抽出、濃縮したものを一律に認めないわけではないとしている。医薬品該当性の判断の境界線を、当該成分の抽出率や濃縮率、含有量等の数値で一律に示すことは困難なため、製品個別に総合的判断を講じていく方向だ。
判断基準の一つは、食品として流通される目的を逸脱するような抽出、濃縮などの加工を行っていないかどうかになるとみられる。ただ、監麻課では「ケースバイケース」と述べるにとどめており、今後、業界団体の対応が求められることになりそうだ。「専ら医薬品」リスト収載成分を含む抽出・濃縮物の具体例を示し、医薬品に該当するか否かの線引きについて、厚労省と意見交換していく必要がある。
Q&Aは今月中旬頃にも発出される見通し。これに関連して機能性表示食品制度を担当する消費者庁も、「専ら医薬品リスト」収載成分が機能性表示食品の機能性関与成分として届け出られた場合の「届出の適否を判断する過程」を明示したQ&Aを今月末までに公表する。
この「届出の適否を判断する」スキームについては、昨年1月開催の規制改革推進会議ワーキンググループ会合で、厚労省、消費者庁の双方が概略を示しており、「専ら医薬品リスト」収載成分が機能性関与成分として届け出られるなどした場合、消費者庁は厚労省に医薬品該当性について照会する。同省が医薬品には該当しないと判断すれば、他の届出と同様に同庁で確認作業を進めることになる。
現行の機能性表示食品の届出ガイドラインでは、届出商品や機能性関与成分について、「専ら医薬品リスト」に「含まれるものではないことを確認する」よう要求。厚労省のQ&Aを受け、ガイドラインの書き振りが改正される可能性が高い。
昨年6月に閣議決定された規制改革実施計画では、「食薬区分に係る考え方の明確化」を厚労省と消費者庁に求めていた。背景には、産業界が、安全性などに関する前提条件付きで、一部の「専ら医薬品リスト」収載成分についても、機能性関与成分として届け出られる仕組みの構築を要望したことがある。