生島さん、表示規制に苦言 (2019.3.7)
フリーアナウンサーで東北福祉大学客員教授の生島ヒロシさんが、機能性表示食品の表示を巡る行政の規制に苦言を呈した。明言はしていないが、届出受理後に薬機法違反の恐れがあるなどと指摘された「歩行能力の改善」問題が念頭にあったとみられる。先月22日、横浜市内で催された市民向け健康セミナーの壇上での出来事。厚生労働省や消費者庁の関係者も登壇していた。生島さんは、ある機能性表示食品の愛飲者として宣伝にも出ている。
「機能性表示食品で人気の商品があって、消費者庁、経産省(発言ママ)がOKを出したけれども、厚労省がダメだと言ったものが出てきているのですよね」。この日、「健康寿命延伸のための取り組み」をテーマにしたパネルディスカッションにパネリストとして参加した生島さんはこう前振りした上で、次のように述べた。
「これからセルフメディ―ケーションを進める中で、機能性(表示食品)などを広めることによって、経済的にも活性化するのだから、表示がとんでもない輩は排除し、きちんとやっているところに対しては細かい表現でグチャグチャ言わない。そのように進めたらどうか」
生島さんは、機能性表示食品について「(機能が表示されているため)分かりやすくていい」との見解を示した上で、共に登壇していた厚労省など行政関係者に対してこう苦言。会場にも意見を求め、賛同の意を示す拍手を浴びた。この日のセミナーには、女性の年配者を中心に、数百名(主催者発表600名)の市民らが参加していた。
機能性表示食品について「厚労省がダメ」だとした事例は現在のところ一部の販売大手などがヘルスクレームとして届出を行い、広告表示にも使っていたものの、薬機法上の適法性が問われた「歩行能力の改善」以外には見当たらない。
一方、司会者から生島氏の意見に対する見解を求められた厚労省関係者は困った顔を覗かせた。そこにすかさず助け舟を出したのは機能性表示食品制度を担当する消費者庁関係者。「(機能性表示食品はあくまでも)食品。薬とは違う。薬を飲んでいる時にも食品を食べるが、薬には薬の役割がある」と述べ、薬剤師や管理栄養士のサポートも受けながら、それぞれの役割を学んで欲しいと参加者に訴えた。
この同庁関係者は、パネルディスカッションの中で保健機能食品について解説。毎日の食事や運動を通じて生活習慣を整えつつ、そのサポートとして表示内容も確かめながら、機能性表示食品などを適切に活用していくよう求めた。そうすることで健康寿命延伸の一助になり得るとも述べた。
この日のセミナーは、「食べることから健康を考えよう」をテーマに、日本チェーンドラッグストア協会の主催で開催されたもの。パネルディスカッションには、生島さんの他、日本栄養士会専務理事をはじめ厚生労働省(医薬・生活衛生局)、消費者庁(食品表示企画課)、経済産業省(商務・サービスグループ)の関係者らが登壇していた。
【写真=パネルディスカッションで語る生島ヒロシさん】