東洋大と民間8社 暑熱対策でサプリ開発 (2019.3.21)


 東洋大学が、食品会社などと共同で、熱中症に繋がる暑熱ストレスを低減するサプリメントなど食品の開発を加速させている。2020年の商品化を目指しており、すでに柑橘由来や中鎖脂肪酸など複数の機能性成分を同定。試作品を使った臨床試験にも乗り出している模様だ。高齢者向け商品の開発にも取り組む。

 研究概要は同大学が12日に開いた研究成果メディア報告会で発表された。研究者は同大の川口英夫教授(同大工業技術研究所所長)、加藤和則教授らのグループで、同グループでは、東京オリンピック・パラリンピックを念頭に、人体の暑熱ストレス(熱中症予防)に関する研究を行っており、その一環としてサプリメントの開発にも取り組んでいる。

 川口氏らは、熱中症に繋がる暑熱ストレスの対策として、人体における“ラジエーター”の役割を果たしている血管に着目。その血管の内皮細胞が熱に弱く(死滅により減少)、これが暑熱ストレスを加速させ、熱中症に繋がる一因になっているとして、血管内皮細胞の減少を防ぐ機能性成分の探索を行った。

 その結果、柑橘由来成分と中鎖脂肪酸など複数の植物由来成分に関して、それを添加した内皮培養細胞が40℃の環境下でも生存することを発見(他の成分を添加した細胞は死滅)。現在までにこれら複数の成分で特許を出願している。

 同グループの加藤和則教授によると、一連の研究により、血管内皮細胞の減少を防ぐなど暑熱ストレス対策となる機能性成分を4つ程度を同定しているという。具体的な成分名は、現時点では公表できないとしている。

 現在、共同研究に参加している企業は8社ほどで、前述の成分を配合したサプリメント、ゼリー、飲料などの開発を進めているという。すでに試作品も開発しており、2019年度中に試作品の検証と臨床試験を終え、20年の商品化を目指すという。同商品化では、まずはニーズの高い建設作業員やアスリート向け製品とし、次段階として高齢者向けの暑熱ストレス低減製品を商品化する予定だという。


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