安全性確保、トクホ並みに 消費者庁、機能性表示制度検討(2014.2.6)
健康食品や農産物など食品の機能性表示制度を検討している、消費者庁の検討会(松澤佑次座長・大阪大学名誉教授)は1月31日、機能性表示を行う食品に対する安全性確保策について議論した。同庁は食経験での評価と、食経験では不十分な場合は、特定保健用食品(トクホ)を参考に、安全性試験の情報で評価するなどの対応方針を示し、同検討会も概ね了承した。
同庁方針案では、機能性を表示する食品は当該機能に関与する成分(関与成分)が増強される場合が多いことから、成分を中心とする安全性確保を第一に考慮し、そのためには成分を明らかすることが必要だとの基本的な方向性を示し、成分の明確化とその安全性確保に重点を置いた。
その上で安全性評価は事業者自ら行い、まず食経験情報で評価し、食経験で不十分な場合は、トクホを参考に動物やヒトによる安全性試験で評価する2段階の方法が示された。食経験については、全国規模で一定期間の食経験があること、海外の場合は、日本人と食生活や栄養状態が類似している国や地域で食経験があることを評価の基準に置く。
一方、安全性試験は動物などを用いた毒性試験と、ヒトを対象とした過剰摂取や長期摂取試験を挙げた。なお、これら評価にあたっては、成分評価か食品での評価かにも留意し、成分評価の場合は、その評価が当該成分を含む食品に適用できる合理的根拠を求める。
さらに、成分と医薬品の相互作用や、複数の成分を含む場合は成分同士の相互作用の有無についても評価する。評価結果については広く情報開示し、1日摂取目安量や注意情報など消費者に確実に伝えるべき情報は容器包装に表示し、それ以外の表示方法についても検討するとした。
また、評価においては「錠剤・カプセル・液状等の食品」「その他の加工食品」「生鮮食品」の食品形状の違いにも留意すると明記。前回の会合でサプリメントや農産物などに分けた議論が必要との意見を踏まえたものと見られ、今後はこの3カテゴリーを念頭に検討が進む可能性がある。
食経験と安全性試験を求める方法は、参考となる米国制度でも、新規成分(NDI)やGRAS(一般に安全と認められる物質)の評価で採用されている。国内でも厚生労働省が2005年に通知した「錠剤・カプセル状等食品の原材料の安全性に関する自主点検ガイドライン」で、食経験で安全性を担保できない場合、原材料の毒性試験を行うよう求めており、健康食品に関する評価としてはいわばスタンダードともいえる。ただ、ヒト試験を含めたトクホ並みの安全性試験を行っている事業者は限られるといえ、制度を活用する際は対応に迫られそうだ。
一方、成分の明確化についても、植物の抽出物などを使った健康食品では馴染みにくいものといえる。委員からも「特定保健用食品(トクホ)に近い考え方か」「複数の成分が含まれる場合はどうするのか」との問いかけがあり、これに対し同庁は「程度については幅がある。全ての成分が明らかになっている必要はない」とする一方、「機能性を表示するには、どういった成分に効果があるのか明らかになっている必要がある」とも付け加えた。
次回は25日に開催し、製造段階での品質管理などについて議論する。
【写真は安全性確保について議論する1月31日の消費者庁の検討会】