健食懇の消費者調査 特保等と混同 依然多く (2019.4.25)
健康と食品懇話会は、昨年11月に実施した消費者調査の結果を17日までに公表した。機能性表示食品制度に対しては、トクホのように表示許可を受けていないことへのネガティブなイメージが昨年調査と比べて減少した一方で、トクホや一般食品などと混同するケースが依然として過半数に上った。機能性表示食品で予防・改善を期待することでは、1位が昨年の「ミネラル・ビタミン不足」から「疲れやすさ」に替わった。
調査を行ったのは、健食懇の消費者研究ワーキンググループ。調査は毎年度実施しており、18年度調査の結果は健食懇の機関誌(19年版)に載せた。
調査は民間の調査会社に委託し昨年11月に実施。インターネットを使い20歳から70歳以上まで各年代の男女624名を対象とした。ただし対象者は週1回以上、特定の健康食品を摂取している人に限定している。
機能性表示食品に関する質問では、同制度へのイメージ・期待、使用頻度の高い商品、期待する予防・改善などを尋ねる項目を設けた。今回の調査では、予防・改善したい項目の選択肢を大幅に増やし、同制度に対する消費者の期待の実態をより詳しく把握できるようにしたという。
調査の結果、機能性表示食品制度に対するイメージ(単数回答)では、「スピーディーに各メーカーが機能性表示食品を販売できるようになるので良いと思う」と「有効性や安全性の根拠を手軽に知ることができるようになるので良いと思う」の2項目に「あてはまる」「ややあてはまる」と回答した人は、それぞれ56.7%(昨年度比1.2%増)、63.6%(同3.1%増)となり、前回の17年調査に引き続きポジティブなイメージが過半数を超えた。
また、同制度に対する期待を尋ねたところ、「どのような試験結果を元にその食品が安全であることを保証しているのか知ることができる」「摂取上の注意を知ることができる」の項目は、それぞれ前回調査結果比で10.5%、9.2%増加した。このため健食懇では、「機能性だけでなく安全性に対する期待も高まっている」としている。
改善より予防求める傾向
一方、使用頻度の高い機能性表示食品を複数回答で尋ねたところ、雪印・ガセリ菌SP株ヨーグルト▽カゴメ・トマトジュース▽アサヒ飲料・カラダカルピス──などの回答が多く、次いでファンケル・えんきん、内脂サポート▽わかさ生活・ブルーベリーアイEX▽大塚製薬・賢者の快眠▽セブンプレミアム・ゼロキロカロリーサイダー──との回答が複数あったという。
ただ、回答者のうち機能性表示食品を正確に回答できたのは36%にとどまり、トクホや一般食品などと混同した回答者は過半数に上った。制度施行から丸4年が経とうとする中で、消費者はいまだ、機能性表示食品とそれ以外の食品を十分に識別できていない様子が窺われる。
他方、機能性表示食品に期待する予防・改善分野を尋ねる設問(複数回答)では、「疲れやすさ」が予防(32.2%)と改善(27.8%)の両方で最も多く、前回調査首位の「ミネラル・ビタミン不足」を抜いた。他に回答率が高かったのは「体脂肪の増加・肥満」「高コレステロール」「中性脂肪の増加」「体力・持久力の低下」「筋肉の衰え」などで、これらの傾向は前回調査と変わらなかった。
また、今年度から選択肢に追加した「腸の健康」は予防で4位(28.3%)、改善で3位(21.3%)とニーズが高かった。期待する予防・改善を尋ねる設問では、前回調査と同様に、改善よりも予防のポイントが全体的に高かったといい、消費者は機能性表示食品に予防を求める傾向が見られる。
一方で、同じ60歳以上でも、有職と無職で期待項目に差が見られた。予防を期待する項目のトップは有職で「疲れやすさ」(37.2%)、無職は「腸の健康」(40.9%)だった。改善を期待する項目については有職のトップが「腰痛」(26.4%)、無職では「筋肉の衰え」(29.1%)となった。
調査では健康食品全般についても調べており、「最も使用している健康食品の購入場所」を尋ねる設問(単数回答)で最も多かったのが、「通信販売(インターネット)」で全体の45.3%。次いで「薬局・ドラッグストア」30%、「スーパーマーケット」8.3%の順だった。