「歩行能力の改善」問題 届出ゼロ 全て取り下げ (2019.4.25)


 ヘルスクレームに「歩行能力の改善」を含む機能性表示食品の届出が遂にゼロ件となった。最後に残された1件の届出が今月9日付で取り下げ。医薬品と誤認される恐れがあると指摘されたこの問題で、最終的に13件の届出が取り下げられることになった。

 「歩行能力の改善」問題の背景には医薬品医療機器等法(薬機法)があった。歩行能力の改善を効能効果の一部とする医療用医薬品が存在するなどしていたため、厚労省は医薬品と誤認される恐れを指摘。消費者庁は関係する届出に対応を求めたことで取り下げが相次いだ。

 届出が残っていた最後の1件は、協和が届け出たHMBを機能性関与成分とするサプリメント。ヘルスクレームの一部に「歩行能力の改善」があった。届出データベース上では取り下げ(撤回)理由について「届出内容変更に伴うリニューアルのため」とする。今後、ヘルスクレームなどを変えて新たな届出を行う考えだ。

 「歩行能力の改善」問題を巡っては、販売開始前の商品から売上を大きく伸ばしていた商品まで、届出取り下げの憂き目を見た。

 機能性表示として発売した後に売上が2倍超に伸び、機能性表示食品全体でも売れ筋商品とみられていた味の素のサプリメント『アミノエール』。同品もヘルスクレーム内に「歩行能力の改善」の文言があり、同社は1日付で届出を取り下げ。表示を変えていわゆる健康食品として販売せざるを得なくなった。

 同社は12日などの日刊紙朝刊にアミノエールの広告を出稿した。機能性表示食品であれば届出に基づきヘルスクレームを記載できるが、そうではないため「不足しがちな〝たんぱく質〟の栄養補給に」などといった表現に終始。機能性表示食品からいわゆる健康食品にシフトするという前例の少ないこの商品の広告は、機能性を消費者に直接伝えられる機能性表示食品の強みを見せつけることにもなったといえる。


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