GMJ加盟国内社 コラーゲン販売量 (2019.5.23)


 ゼラチン・コラーゲンペプチドなどを製造する国内14社が加盟する日本ゼラチン・コラーゲン工業組合(GMJ)が15日までにまとめた2018年度の加盟企業販売量によると、コラーゲンペプチドの販売量は合計で5839㌧となり、前年度比は0.6%増のほぼ横ばいにとどまった。ただ、前年度は2001年度の集計開始以来の過去最高販売量となる5800㌧を記録していた。

 コラーゲンペプチド販売量の集計対象企業は、GMJ加盟14社のうちニッピ、新田ゼラチン、ゼライス、野洲化学工業など国内6社。ルスロジャパンなどの輸入販売企業や、コラーゲンペプチドを製造販売する水産加工メーカーなどによる販売量は含まれていない。

 GMJが公表した18年度コラーゲンペプチド販売量の内訳を見ると、健康食品・サプリメント向けなどの「食用」は4962㌧と前年度から190㌧増加。比率では4%の微増にとどまったが、前年度は昨対比で約620㌧も伸ばしていた。インバウンド消費を含むコラーゲンペプチドの国内需要は、18年度も高いレベルで安定推移したことが窺われる。

 一方で、ほぼ全量が食用と推測される「輸出」は760㌧となり、前年度から141㌧、比率では15.6%のマイナスと大きく落ち込んだ。その他、「医薬用」は前年度比13.5%増の84㌧、「工業用」は37.7%減の33㌧だった。

 前年度の「輸出」は901㌧と集計開始以来の過去最高を記録。昨対比では320㌧の伸長を見せていた。それが一転、18年度は落ち込んだ背景には、とくに美容食品用途で需要が高いフィッシュコラーゲンペプチドの原料となるテラピアのウロコ等のタマ不足、価格急騰があるとみられる。これにより、製造販売可能量がタイト化したのを受けて、海外市場からの引き合いへの対応が滞りがちとなったことが大きく響いた。

 17年末頃から顕在化し始めた魚原料の不足、価格上昇は、19年度にも尾を引きそうだ。GMJの現状認識は「改善の兆しが無い」。また、「(豚皮への)由来原料変更提案も顧客の了解を得難いため、供給不安による顧客離れが懸念される」ともコメントしており、今年度のコラーゲンペプチド販売量推移について慎重な見方を示している。

 ただ、原材料メーカー各社は、魚原料の調達ルートや魚種を広げるなどして原料の安定確保に向けた取り組みを進めている。とくにニッピでは、静岡県富士宮市にコラーゲンペプチド専用工場を新たに竣工してもいる。本格稼働は夏ごろの見通しで、これによりフィッシュコラーゲンペプチドの生産量も従来よりも増える見通し。引き合い対応の安定化に寄与することが期待されそうだ。

 なお、GMJ会員企業によるゼラチンの18年度販売量合計は、前年度比0.4%増の1万6597㌧とほぼ横ばいだった。主要用途の「食用」は1万2106㌧と、前年度から30㌧の増加にとどまった。

 GMJでは今後の国内ゼラチン市況について、「TPP11(環太平洋経済連携協定)、EU・EPA(日EU経済連携協定)が発効され、輸入品の関税率低下による海外品のますますの浸食が懸念される」としている。

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