興和、IC認証を取得 指定医薬部外品で初(2019.5.23)
医薬品メーカーの興和がアンチドーピング認証を取得した。指定医薬部外品の栄養ドリンク剤で初めて取得したもので、新聞紙上に全面広告も展開しながら強くアピールしている。認証取得によってアスリートがより安心して商品を摂取できるようになる。一方、栄養ドリンク剤市場での差別化につなげたい思いも透けて見える。競合他社が追随する可能性がありそうだ。
「指定医薬部外品で日本初となるアンチ・ドーピング認証『インフォームドチョイス』を取得しました」
興和は、こうアピールする全面広告を16日付のスポーツニッポンや夕刊フジに掲載。同社ウェブサイトの製品ページでも同様のプロモーションを展開しており、かなり力を入れている様子が窺える。
インフォームドチョイス(IC)は、イギリスのLGC社が手掛ける国際的なアンチドーピング認証プログラム。2020年東京五輪・パラリンを控える日本でも、16年12月に初の認証取得製品が登場して以来、サプリメントを中心に広がりを見せている(4月1日現在31社)。そのなか興和では、『キューピーコーワαドリンク』で日本初となる指定医薬部外品でのIC認証を取得した。
これまでに日本でIC認証を取得したのは、サプリメントなど食品の最終製品、原材料、製造工場のみ。医薬品での取得は今回が初となる。IC認証の対象は「スポーツサプリメント」だが、海外ではサプリメントを医薬品に位置付けている場合もあり、その意味では海外でも医薬品での認証事例はあるようだ。
今回、興和がIC認証を取得した製品は、疲労回復・予防などを効能効果とする栄養ドリンク剤。ビタミンB群をはじめエゾウコギエキス、オキソアミヂンといった生薬の他、タウリン、L‐アルギニン塩酸塩などを配合したもので、医薬品カテゴリーの中ではサプリメントに近い。認証する側のLGC社にとっても違和感はなかったと言えそうだ。
興和は今回、日本でIC認証を取得した。ただ、IC認証に関する日本総代理店が通常行う、新規認証取得製品に関するプレスリリースは、20日までなかった。また、興和としてもニュースリリースを出すことなく、指定医薬部外品で日本初のIC認証取得に関するプロモーションをスタート。そのため、全面広告で初めてIC認証取得が明らかとなる異例の展開となった。
「スポーツ栄養品質管理のグローバルスタンダードです」
興和は全面広告の中でIC認証の意味合いをこう説明した上で、「様々な分野の消費者、アスリートのニーズをサポートすることを可能としています」とアピール。製品品質の高さを裏付ける要素もあるIC認証を通じ、〝うっかりドーピング〟のリスクを避けたいアスリートのみならず、多様な消費者を取り込みたい考えを隠していない。
【写真=「インフォームドチョイス認証」スポーツ紙などで前面広告も展開】