オムニカ 国産ビルベリーエキス投入 近く供給スタート (2019.7.11)

オムニカ 国産ビルベリーエキス_新工場で_オムニカ_改訂②

 機能性食品素材開発・製造販売のオムニカがビルベリーエキスの国内生産に乗り出す。同社は今春、最新鋭の植物エキス生産プラントおよび関連施設などで構成される新工場を静岡県裾野市内に竣工。新工場での第1弾生産品目となる。高尾久貴社長が今月2日、裾野工場施設内で取材に答えた。

 新工場では、原料の受け入れから製品出荷までの一貫生産体制を構築する。プラントの本格操業(商業用生産)は8月中旬以降に開始する予定。その後11月末ごろまでをめどに、日本健康食品規格協会(JIHFS)による工場監査を受けて原材料GMP認定を取得し、認定取得以後の生産ロットから順次出荷していく計画だ。

 プラントは昨年末までに完成。2日の取材では施設の一部も案内され、反応速度や分散化などに関する誤差を緻密にコントロールできる最新鋭機器、現行品を改良した次世代型ビルベリーエキスの生産専用に特注した装置などを見学、説明を受けた。健康食品原材料というよりも、医薬品原材料の生産工場に近い印象を受ける。

 プラントの完成以来、時間を掛けながら試験生産やバリデーションなどを慎重に進めており、臨床試験でエビデンスの得られたビルベリーエキスと同一の製品を継続して生産できる製造・品質管理体制を構築した上で市販を開始する。現在の操業状況は、6月下旬までに第1号ロットの乾燥噴霧を終え、物性・性能評価を開始した段階。従来装置では難解とされた製造技術のバリデーションも無事に終えたという。

 工場施設内には生化学検査などを行える研究分析室も設置する。現在は東京の本社内に置いているが、プラントの本格操業に合わせて完全移管する予定だ。
 また、都内の既存工場2カ所(船渡工場、板橋工場)は年末までをめどに閉鎖し、製造・品質管理部門の全てを新工場に集約する。板橋工場は健康食品GMP認定(包装工程)を取得しているため、新工場にも包装関係のGMP設備を導入し、本格操業までに稼働させる。これにより、分析まわりも含めた製造・品質管理体制を盤石にしたい考えだ。

生産アイテム、新製品も予定
 ビルベリーエキスはオムニカの主要販売品目の一つ。国内市場でのシェアは過半数とみられる。その中で、新工場竣工に伴い、原料調達を含めた全工程で垂直分業していた製造管理の外注部分が無くなり、全量が国内での製造・品質管理に切り替わる。これにより、これまであった重複管理が解消されることでコストパフォーマンスも改善される。その結果、「国際競争力も具備する」(高尾社長)と言う。

 プラントの生産能力は非開示。ただ、少なくとも現在の販売数量を全て賄えるだけの規模は備えていると言う。また、その製造・品質管理に当たっては、ロットあたり数千の個別工程で管理。精密なマニュアルも作成し、全ての生産ロットで指図と記録が常時把握されることになる。このように高レベルの製造・品質管理体制に基づく高性能植物エキスを日本国内で生産しようとするオムニカの新たな取り組みは、22年3月末に経過措置期間が終わる、新たな原料原産地表示制度も睨んだ動きともみられる。

 新工場のプラントでは、ビルベリーエキス以外の品目も生産する。現段階で生産を予定しているのは、体脂肪の減少、視機能の改善、脳機能の改善、歩行機能の改善──などを機能性とする新素材群。高尾社長は、「当然、基礎研究、安全性評価試験から有効性検証目的のランダム化試験までが実施されている関与成分であることが前提」だと話している。

【写真=オムニカ裾野工場の外観】


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