消費者庁 ダイエット健食 消費者へ注意喚起 (2019.7.11)
消費者庁は、今月1日スタートした食品表示夏期一斉取締りで、ダイエット健康食品の注意喚起に取り組む。重点的取組み項目の一つに盛り込んだ。健康食品のうち「健康被害の情報が最も多い」のが理由という。一斉取締り期間は今月末までだが、ダイエット健康食品による健康被害は「ここ数年ずっと続いてきている」とし、継続的に啓発する意向を示している。
十把一絡げに注意喚起 健康被害、個人輸入 海外製品に多く
今回の食品表示夏期一斉取締りは、全国154の地方自治体と連携して取り組む。ダイエット健康食品の注意喚起に当たっては、「簡単に痩せられると宣伝するいわゆる『ダイエット健康食品』で多くの健康被害が報告されています」などと啓発するパンフレットを作成。全国約500カ所の保健所も通じて一般消費者に配布する。
ダイエット健康食品で多くの健康被害が報告されているとする根拠は、国立健康・栄養研究所が運用するウェブサイト「健康食品の安全性・有効性情報」に5月24日付で掲載された、「国内外で注意喚起された健康食品による健康被害の特徴」と題した記事。
この記事は、2010年1月から18年12月までの間、同サイトに掲載された国内外の注意喚起情報を集計・解析した結果をまとめたもの。同期間に日本国内の公的機関から発出された注意喚起情報は569件あり、うち健康被害情報は24件、そのうち22件が「痩せるための目的で無承認無許可医薬品の利用によるもの」だったしている。
これを根拠に同庁は「ダイエット健康食品を摂取することによる健康被害の情報が最も多いとする報告がなされている」と指摘。「一般消費者がダイエット健康食品を安易に使用することのないよう、啓発パンフレットを活用し、一般消費者への注意喚起を促す」としている。
ただ、同記事が注意を促しているのは、とくに海外製のダイエット健康食品に関して。「(24件の健康被害の)多くは海外などからインターネットを利用して入手(個人輸入)」されたものだとし、「健康被害にあわないためのポイント」の筆頭に「海外製品の個人輸入」を取り上げ、細心の注意を払うよう呼び掛けている。
一方で、消費者庁が作成した啓発パンフレットには「海外製品」「個人輸入」に関する記載はない。国内製・海外製を問わず、ダイエット健康食品全般について、多くの健康被害が報告されていると受け止められる内容となっている。
厚生労働省や栄養研によると、個人輸入代行サイトなどを通じて海外から輸入されたとみられる「ホスピタルダイエット」「MDクリニックダイエットなどを名称とする海外製品を巡っては、02年から18年までの間に、22件にも上る健康被害が国内で報告されており、死亡事例まで出ている。向精神薬や肥満抑制薬などが検出される場合もあるという。
また、栄養研によると、同記事で言及した22件のダイエット健康食品(無承認無許可医薬品)による健康被害は「大半がホスピタルダイエット関連」(健康食品情報研究室)によるものだ。
本来であれば海外製ダイエット健康食品の個人輸入に的を絞った注意喚起が強く求められそうだ。この点について消費者庁の岡村長官(今月9日付退任)は、先月19日の定例記者会見で「今回の消費者、事業者への呼び掛けは、国内、国外とも一律にさせていただきたい。国内の事業者の方々が良いものを作っておられるなら、より、良いものを作っていただければ有り難い」と述べた。
海外製ダイエット健食 岐阜県で健康被害疑い
海外製の健康食品を摂取した30代女性が動悸などの体調不良を訴える事件が岐阜県で発生した。SNSを通じて購入したという。ダイエット目的だったとみられる。岐阜県保健環境研究所が当該製品を分析したところ、シブラトミンなどの医薬品成分が検出された。
県の発表によると、県内在住の30代女性から6月25日に保健所へ相談があった。女性が摂取していたのは『GoleanDETOX』を名称とするハードカプセルの製品で、ベトナム製とみられる。
同品と同一名称の製品を巡っては米FDAが今年1月、シブラトミン、フェノールフタレインといった医薬品成分が含まれるため購入・使用しないよう勧告。その後自主回収情報も公表した。
県によると、県保健環境研究所が当該製品を分析した結果、1カプセル中にシブラトミンが9㍉㌘、フェノールフタレインが30㍉㌘検出された。シブラトミンは日本では未承認の肥満症治療薬。フェノールフタレインは、発がん性のおそれがあるとして現在は医薬品として使用されていないという。